血祭り豆柴きょうだい、犬の群れにもまれ激変 その姿に、自分も変わろうと母は誓う
実のきょうだいなのに一緒に暮らせないかも……とお母さんを悩ませた2匹の豆柴。UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)で、犬の群れと高橋信行店長のもと、どんな成長を見せるのか? 乾くことのなかったお母さんの涙は?
激アツ店長、中目黒の駅前で叫ぶ!
「犬と家族一緒に乗り越える。だからこそ愛と絆が深まる!」
(前回のお話はこちら)
UGの群れに放たれたことで、自然と2匹で遊ぶように
豆柴きょうだいのすずらんちゃんと楓くんの社会化お泊まりが始まった。
「すずらんちゃんは有り余るエネルギーと体力をどんどん発散させて、クールダウンさせていく。楓くんは、群れの刺激や人が触ることなどに少しずつ慣らし、ゆっくりと感情を吐き出させる。楓くんのようなタイプは強く叱ったりすると逆効果になるので、しっかりと見極めながら対応をしていきます」
人間もそうだが、家の中ではケンカしていても、知らない場所で親から離れたら頼れるのはきょうだいの存在。すずらんちゃんと楓くんも、知らない犬だらけの群れに放たれたことで、2匹で遊ぶように。店長から送られて来る写真や動画でその様子を見たお母さんは、久しぶりに笑顔を取り戻す。
「店長の写真がうますぎて、見たこともない2匹の激しい遊びに驚きました(笑)。でも、群れに馴染み、遊び、ごはんのときにみんなと一緒に伏せ待てもして……。遊び疲れて楓がすずらんにぴったりくっついてお昼寝している写真に、こんな姿が見られる日が来るなんてと、初めてうれしくて涙が出ました」
そして最終日。1枚の写真が送られてきた。すずらんちゃんは優しい表情に、楓くんの瞳にはイキイキとした光が宿り、肩を並べる2匹はとびきりの笑顔。
「初日とはまったく表情が違う。生まれ変わったようでした」
「2匹ともよく頑張りました。でも、すずらんちゃんはまだまだハイパーだし、楓くんはお散歩でうまく歩けないなど課題はあった。できればこれからも定期的に通ってもらうよう、お母さんにはお願いしました」と店長。
お母さんは「この子たちがこんなに変わったんだから、私も頑張ろうと心に決めました」と振り返る。
さらに成長した2匹の姿に、お母さん号泣
家に帰ったすずらんちゃんと楓くんは、2匹で全開で遊ぶように。すると、すずらんちゃんの甘噛みは激減、楓くんは触っても噛まなくなった。
店長の口癖「お散歩大事!」も守り、雨で外に出られない日は店長オススメの巨大ラムボーンを噛んでストレス発散! 「あまりの大きさにドン引きしましたが(笑)、その大きさがよかったのかすずらんも楓も大喜び。さすがプロ店長!と舌を巻きました」とお母さん。
その後も毎週UGへ。合わせると6キロを超えるすずらんちゃん、楓くんをキャリーケースに入れてせっせと通った。
社会化お泊まりから3カ月後。お母さんが海外出張することになり、2匹はUGで久々の長いお泊まりをすることに。現地に到着し入国審査の列に並んでいたとき、映像が届く。すずらんちゃんが自分より年下で体も小さな赤柴の子犬と、上手に遊んであげている。店長もそのときのことを鮮明に覚えているという。
「保育士すずらん誕生! 撮影していて感動で泣きそうになりました」
さらに、楓くんがすずらんちゃんやほかの犬たちと一緒にお散歩している写真も。「実は当時、楓はまだ上手にお散歩ができなかったんです。それが、先頭を切って堂々と歩いていました。それも自信を持って自分の意志で歩いているようで……。2匹の目を見張るような成長に号泣してしまいました」とお母さん。
悩んだ分、ますます愛おしい
それからも気になることがあれば店長のアドバイスを仰ぎながら、現在すずらんちゃん、楓くんは2歳半を迎えた。今は2週間に一度シャンプーに通う。バスタブはいつも2匹一緒。気持ちよさそうで楽しそうな笑顔が弾ける。
「すずらんはどちらかというと出無精。子犬時代と変わらず今でもオモチャはあっという間に破壊します。でも、それすらも愛おしい(笑)。楓は逆でお出かけ大好き。おしゃべりの相手が上手で、私が話しかけるとじっと見つめながら聞き続けてくれる。目も合わせられなかったころが嘘のようです」とお母さん。
「悩みというほどの悩みはありません。多頭飼いは、手間は倍かかるし、うちの場合はハイパーも倍ですが、楽しさも幸せも倍。悩んだ分、ますます愛おしいから不思議です」と笑い、その上で豆柴を迎えて感じたことをこう語る。
「柴犬に比べて体は小さいけれど、中身は柴犬です。というより、小さな『器』に柴犬のいいところはもちろん、大変な面も濃縮して詰まっている感じ。お散歩していると『小さくてかわいい。うちも飼いたい』とよく言われますが、そうした性質を理解した上で迎えてほしい」
「小さい=おとなしい、弱い」ではない
お母さんの言葉を受け、店長もこう続ける。
「豆柴は人気のようですが、小さくても柴犬は柴犬。もちろん犬それぞれの性格はあるけれど、『小さい=おとなしい、弱い』ということはありません。赤、白、黒と毛色によっても性質には違いがある。それを理解して育てないと、こじらせてしまうことがあるのです」
1500匹あまりもの犬とその家族とカウンセリングしてきた店長ですら、柴犬は月齢6カ月を過ぎると厳しいと感じることがあり、UGよりも長期間の預かりトレーニングをしてくれる知り合いの店を紹介するケースも。犬の性質を熟知したプロのアドバイスを仰ぐことは、その先続く十数年の「犬生」と家族との暮らしのためには早いうちに考えるべきことだろう。
店長は言う。「すずらんちゃん、楓くんはもちろん頑張ったけれど、どんな状況でもお母さんは我が子を疑うことなく、自分も変わろうと努力していた。それが大きかったと思います」
カウンセリングをしていると、ときどき「犬に問題があるから治してほしい」と言う飼い主がいるという。「本当の意味での問題犬はほとんどいません。むしろ飼い主さん側に問題があることが多い」と店長は断ずる。
たとえば、溺愛したかと思ったらナメられないようにと厳しくしたり、怒ったらかわいそうだからと遠慮したり。飼い主のそうした行動に混乱し、子犬が暴走することもある。
「僕らはこんがらがった糸を1本1本ほぐし、子犬と飼い主さんの関係がシンプルになるよう整理します。でも、お手伝いしかできない。犬を信じ、飼い主さん自身も変わるべきところは変わり、それぞれのご家庭の『形』を見つけてほしいのです」と店長。
最後に笑顔でこう語った。
「悩み、大変な思いをし、それを一緒に乗り越えることができたら、ますます愛と絆が深まり、その後の幸せも倍増します! すずらんちゃんと楓くん、お母さんがそうだったように」
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- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。
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