演歌の女王、藤あや子さんをメロメロにする姉弟猫 「我が子であり、恋人でもあり」
藤あや子さんと言えば、艶あでやかな歌声と容姿で多くのファンをとろけさせてきた演歌の女王。その藤さんをメロメロにさせているのは、1年前にやってきた姉弟猫「オレオ」と「マル」だ。
母性愛がだだ洩れ
震える指の先まで、いいおんな。ライトを浴びて女の情念をしっとりと歌い上げる、舞台上の藤さんと、また別の藤さんがそこにいた。薄化粧の、なんともリラックスした優しい微笑みが、これまた美しい。その傍らには、愛らしい2匹の猫が。
キャットタワーの上でくつろいでいるハチ割れは、「オレオ」という名の女の子。膝の上の白ソックスを履いた黒白猫は、「マル」という名の男の子だ。略して「マルオレ」の2匹は、1歳になったばかりの姉弟。保護された身重のノラ母さんから生まれ、生後1ヶ月でやってきた。
「お茶目で、天然で、もう毎日がおもしろくて。ステイ・ホーム中も、この子たちとずっと過ごせるのがうれしくてうれしくて」
マルくんは、ビビりで甘えん坊の弟キャラ。オレオちゃんは、賢くしっかり者のお姉ちゃんキャラという。2匹に共通しているのは、好奇心いっぱいのまん丸なゴールドの瞳だ。
「もうね、することなすこと可愛くて、毎日どれだけ口にすることか。『可愛いね』『大好き』『愛してる』って」
2匹への母性愛がもうだだ洩れの藤さんなのだった。
久しぶりの猫暮らし
秋田県生まれの藤さんは、捨て猫を見ると、放っておけない少女だったという。
「拾って帰っては、親に叱られて元に戻され、それをまた拾いにいって、うちにはいつも6~7匹の猫がいましたね」
子ども心に忘れ得ぬ光景がある。仲良しの雌猫同士がいたが、片方が出産した。すると、出産していない方も子猫の面倒を見はじめ、お乳が出るようになったのだ。「猫の母性」と「神秘」を目の当たりにした体験だった。
デビュー後、超多忙になった日々に出会ったのが、アメショーの子猫。ペットショップのケージの中でじっと耐える姿が切なく、「この子ください」と口走り、一緒にいた娘さんに驚かれたという。そのミュウミュウを10年前に見送った後、つらすぎて「もう猫は飼うまい」と思っていたのだが……。
「去年、身重のノラ猫を義母が保護して、生まれた子猫の写真が可愛すぎて。『写真送って』と毎日ねだっていたら、『飼っちゃえば』って(笑)。で、垂れ目なのがなんとも哀愁のあるマルをもらうことにしたんですが、『2匹の方が絶対にいい』と勧められ、オレオもいっしょに迎えました」
SNSで大人気に
そうして再び始まった猫との暮らしは、姉弟で迎えたせいもあって、「尽きることのない猫の可愛さとおもしろさ」新発見の新鮮な日々。家族で独占するにはあまりにも可愛すぎる日常をTwitterで発信し始めたところ、フォロワー数がうなぎ上りに。
猫の日である2月22日は、真っ白な壁を天井近くまで駆け上がる運動神経バツグン女子オレオちゃんと、そんなお姉ちゃんに憧れて駆け上がるも、半分しか上れないマルくんの動画をアップした。「もう好きにしなさい。キミたちの日なんだから」というコメント付きで。この「真の猫好きはかくあるべし」のようなおおらかさが、バズりにバズった。
収録を終え、マルオレ会いたさのあまり衣装のまま自宅に直帰する日。「気をつけてね~」とベッドから片手を挙げるマルくんに見送られる日。箱に入ったオレオちゃんと、その上に乗るマルくんの写真には「箱入り娘と箱乗り息子」のコメントが添えられる。「乗っちゃダメ」と言われているキッチンの台の上に乗ったオレオちゃんを、そばにあった大判ハンカチで優しく包む動画には「お弁当箱の刑」のタイトルが。
藤さんの愛に包まれ、愛らしくもやんちゃに成長するマルオレに、Twitterのフォロワー数は10万人を超えた。マルオレのInstagramも開設され、大人気。こんなコメントが殺到する。
「藤さんの家の猫になりたい!」「猫も可愛いけど、猫との生活を楽しんでいる藤さんも可愛い」「マルオレを見ないと、もう一日が始まらない」……。
撮影・取材中も、2匹は、それぞれの個性を発揮。オレオちゃんは、臆することなく、毎日せっせとかじってリフォーム中の爪とぎハウスの上で、女優ポーズをキメてくれた。マルくんは、ソファの下に隠れて、ママにこうお願いされている。
「マル坊、その可愛いお顔を撮らせてあげて。そーんなに可愛いんだから。ほら、お姉ちゃんは、ちゃんとポーズとってるよ」
やがて、大好きなママの膝の上に収まったマルくんだった。
飼うなら保護猫を
「この子たちは、我が子のようでもあり、恋人のようでもあり。マル坊はこの頃、男らしい表情を見せて胸をキュンとさせ、ママの女子力をアップさせてくれます。オレちゃんは、『お互い、きれいでいようね』と刺激をくれる同志。いつまでも、ふたりでママの気持ちをときめかせてほしいな」
この子たちのことを思うだけで、いつでも笑顔になれる。この子たちが待つ家に帰るのがこんなにうれしいし、外に出かけなくてもこんなに楽しい。だから、藤さんは、周りの人に「猫を飼うと、毎日が楽しいわよ」と勧めている。そして、この一言も忘れない。「飼うんだったら、保護猫」と。
「1匹でも外にいる子がしあわせになってほしいと、マルオレと暮らし始めて、いっそう願うようになりました」
保護活動支援のため、ディナー・ショーなどの会場入り口に置いたマルオレ・チャリティー募金箱や、マルオレ・カレンダー販売は長く続けたいと言う藤さん。2匹との相思相愛で心潤され、ますますその歌声は艶めいて円熟味が増していくに違いない。
うっとりと眺めているうち、藤さんとマルオレが、美しい猫の母子に見えてきた。
(文・佐竹茉莉子 写真・安海関二)
- Fuji Ayako
- 演歌歌手。1961年5月10日生まれ、秋田県出身。1985年にNHK「勝ち抜き歌謡天国」で優勝し、1989年にシングル「おんな」でデビュー。代表作はシングル「こころ酒」、「むらさき雨情」、「花のワルツ」など。「日本有線大賞」など、受賞歴も多数。華やかなステージと艶のある歌声で、男女問わず支持を受けている。藤あや子と伍代夏子の初めてのデュエットソング「いつもそばにいるよ」が好評発売中。
Instagram:ayako_fuji_official
Twitter:@fuji_ayako
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