地域猫が暮らす場に捨てられた子猫 仲間と一緒に猫好きの家へ

キジ白猫「こうくん」と茶トラ猫「すいくん」
カメラも嫌い、たまにカメラ目線してくれる

 兵庫県にTNRされた地域猫たちが多く住む町がある。エサやりさんがエサをあげているので、「食うに困らないだろう」と思うのか、そこに猫を捨てに来る人もいる。そんな場所に捨てられ、保護された子猫がいた。

(末尾に写真特集があります)

地域猫のすみかに捨てられた子猫

 兵庫県伊丹市と尼崎市の間にある道路近く。2017年8月、尼崎市を拠点に活動する猫の保護団体C.O.N(コン)に野良の子猫が保護された。近くにスイミングクラブがあったので、「すいくん」と名付けられた。

 以前からこの辺りには野良猫が多く、野良猫たちにエサを与える人がいて、通りがかりの人もごはんを与えていた。道幅が狭く交通量も多かったため、C.O.Nは野良猫9匹のTNRをして、5匹を保護した。

 これでもう野良猫が増えることはないと安心していたが、エサやりがいることを知ってか、また猫が捨てられた。見知らぬ猫だったため、20178月、捕獲器を使って保護された。身体は大きかったが、まだ子猫。その猫が「すいくん」だった。

 すいくんはシャイな性格で、人に甘えることは苦手なようだった。そのため、譲渡希望者のもとに一度トライアルに行ったが、戻されてしまった。C.O.Nは、次は1匹ではなく、他の猫と2匹一緒にもらってくれる人に譲渡したいと思っていた。

キジ白猫「こうくん」と茶トラ猫「すいくん」
こうくんと一緒だと安心できるにゃ

2匹一緒に譲渡なら

 兵庫県に住む黒崎さんは、ペットショップで買った2匹の猫と暮らしていた。3匹目は保護猫にしようと思い、保護猫のことやペットショップで売られている猫のことも勉強するようになった。1年に34回ほど、C.O.Nの譲渡会にも足を運んでいた。

 譲渡会では、すいくんは、仲良しの「こうくん」と一緒のケージに入れられていた。2匹とも人見知りをして、毛布にくるまったまま顔を見せずにいた。スタッフが顔を見てもらおうと毛布をめくっても、気付くと毛布の中に入ってしまっていた。

 黒崎さんは最初、こうくんだけを譲渡してもらうつもりだったが、「マンション住まい」を理由に断られた。しかし、2匹一緒に譲渡してもらいたいと希望すると、トライアルさせてもらえることになった。

 20186月、黒崎さんはケージを用意して、こうくんとすいくんの2匹を家に迎えた。先住猫もいたため、時間をかけて様子を見守るつもりだったが、2、3日経つと、こうくんは外に出たがり、すぐに先住猫と遊ぶようになった。

茶トラ猫「すいくん」
なにやら瞑想の世界に浸っています

 一方のすいくんは、その様子をケージの中から見ていたが、じきに外に出てくるようになった。

 今もこうくんとすいくんは大の仲良し。いつも気が付くと、一緒におだんごになっているのだという。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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