熱い涙が頰をつたう タオル必須な号泣できる犬の映画3選

 新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言がようやく解除されましたが、すぐに大手を振って好きな場所へ遊びに行けるわけではありません。引き続き3密に気をつけた行動が求められた自粛ライフはまだまだ続きそう。そこでsippoでは、泣いてストレスを発散すべく“涙活”オシの犬の映画をご紹介。

 今回のテーマは「タオル必須な号泣映画」です。

 健気な犬たちに癒やされながらも、涙腺を刺激され、気持ちよく泣かせてくれる映画をセレクトしました。もちろん、家でポチれば、すぐに観られる動画配信作品となっています。さあ、タオルを用意して、観ていきましょう!
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実話に涙、ハリウッド版『ハチ公物語』

HACHI 約束の犬

 犬の感涙映画のトップバッターは、日本が誇る忠犬の実話を描く『ハチ公物語』を、ハリウッドでリメイクした『HACHI 約束の犬』です。主演は、ハリウッドきってのイケてるおじさま、リチャード・ギア。暗黒のコロナ禍において「70歳で第3子のパパに!」という吉報で“まだまだ現役バリバリ感”を見せつけ、世界中に元気を与えてくれたギア様です。

 子犬の頃、ギア演じる大学教授に引き取られたハチは、毎日教授を駅まで送り、帰宅時間になると彼を出迎える日々を過ごしていました。ところがある日、教授が、大学の講義中に倒れ、そのまま命を落としてしまいます。その後、ハチは教授の娘夫妻に引き取られますが、そこを飛び出して駅の定位置へ。そこで亡き主人をひたすら待ち続けるのでした。

 もう二度と会えない主人を、雨にも負けず、風に負けず、ひたすら待ち続けるハチ。愛犬家としても知られるギアは、脚本を読んだ段階で涙したそうですが、劇中でハチとたわむれるうれしそうな姿は、もはや演技の域を超えています。また、犬を飼うことに反対だった教授の妻とのやりとりも描かれ、物語に深みを与えています。

 ハリウッド映画なのに、ちゃんとオリジナル版『ハチ公物語』をリスペクトしたストーリーになっていて、舞台はアメリカ東海岸なのに、ハチのルーツとして日本も登場します。誰にでも媚びるわけじゃないけど、主人には献身的な秋田犬の忠犬ぶりも、きちんと誠意を持って描いている点が好感度大。オリジナル版と見比べてみるのもアリですね。

3度生まれ変わる犬から受け取るメッセージ

僕のワンダフル・ライフ

 続いて紹介する2本目は、『HACHI 約束の犬』と同じくラッセ・ハルストレム監督作『僕のワンダフル・ライフ』です。この監督は、アカデミー賞監督賞にノミネートされた『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』も含め、犬を描くスキルが非常に高い。また、『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』など、あざとくない演出でさわやかな感動を呼ぶ人間ドラマの名手でもあります。

『僕のワンダフル・ライフ』は、犬と飼い主との関係性を、犬側の視点から描く感動作。ゴールデン・レトリバーのベイリーと、少年イーサンとの出会いを軸に、50年で3回も生まれ変わった犬の成長と、長い旅が、ドラマチックに描かれていきます。

 人に人生があるように、犬にも“犬生”があり、必ずしも生まれる家を選べるわけではありません。犬の喜怒哀楽が、人間の言葉で表現されていて、愛犬家なら人間よりも犬のほうに感情移入してしまうかもしれません。そして、最後に起こる奇跡を目にした時、熱い涙が頬をつたいそうです。

 ベイリーが教えてくれたのは、過去をいつまでも悲しまず、未来を憂うことなく、今を生きること。図らずしも、コロナ禍にある私たちに向けて、大切なメッセージを届けてくれそうです。

犬の殺処分問題に切り込んだ家族の物語

ひまわりと子犬の7日間

 3本目は、国民的ドラマ「半沢直樹」の続編が待機中である堺 雅人の主演映画『ひまわりと子犬の7日間』。本作も『ハチ公物語』と同じく、実話をもとに制作された映画で、『僕のワンダフル・ライフ』でも少し触れられている、犬の殺処分問題に真っ向から切り込んだ意欲作でもあります。

 よくある犬猫映画と本作が一線を画している点は、設定からして、シビアな現実を突きつけられること。堺さん演じる主人公の神崎彰司は、もと動物園の職員でありながら、今は犬の殺処分を行う保健所に勤務しています。一瞬、戸惑う設定ですが、だからこそ愛犬家たちを大いにうならせる珠玉の1品に仕上がりました。

 ある日、飼い主を失った野良犬で、人間不信に陥った親犬と子犬たちが、保健所にやってきます。子犬を命懸けで守るべく牙をむき出しにした親犬は「ひまわり」と名付けられ、彰司はそこからひまわりたちの新しい飼い主を見つけようと、奔走していきます。

 監督は、名匠・山田洋次監督のもとで、共同脚本や助監督を務めてきた平松恵美子監督で、美談に走りすぎず、彰司の葛藤を丁寧に浮き彫りにしていきます。個人的には、彰司が子どもたちから、保健所の仕事について聞かれ、必死に説明する姿が心に刺さりました。子どもたちの心の揺れも描かれていき、迎える結末にむせび泣く人も多いのでは。

 近年、社会問題となっているペットの殺処分について一石を投じる本作について、主演の堺さんは公開時の舞台挨拶で「家宝のような作品になりました」と言われていました。ペットを飼う=その生命に責任を持つ、ということなんだなと痛感。愛犬家の方はもちろん、これからペットを飼おうと思っている方々にぜひ観てほしい1作です。

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山崎伸子
ライター、ときどき編集者、カメラマン。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は旅行、酒場&酒蔵巡り、パンダグッズ集め。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。実家に帰るとやんちゃなわんこが二足歩行でお出迎え。

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この連載について
犬の映画・猫の映画
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