昭和感漂う貸本屋の看板猫 助けてもらった恩返しに服着て福招き
交差点での信号待ち、ふと近くのお店に目をやると、「え? 窓辺で寝ているのは猫?」。気になるが信号が青になったので進み、用を済ませて帰りの交差点。行きと同じ格好で猫が寝ているではないか。「ぬいぐるみかな?」。よく見ると、猫は大きなアクビをした。
宮崎県昭和町の交差点脇にある貸本屋さん「輝きらら」。町名と同じく、昭和の香りが漂う漫画コミックス専門の店である。
「昔はどの町にもあった貸本屋ですが、ネットの普及などでほとんどなくなりました。うちもずいぶん前から経営はギリギリです」と、店主の吉谷千鶴子さん。バスガイドや司会業との兼業でお店を維持している。
「2012年のこと、小学生の頃からよく通ってくれた女の子がお店にやってきました。雨の中、捨て猫を拾ったものの、飼うことができずに連れてきたんです」。
千鶴子さんは特に猫好きではなかったけれど、命を助けようと猫を預かり、自分のご飯を猫に分けてあげた。翌日、猫は千鶴子さんが目を離したすきに消えてしまったが、数日後、続々と子猫などを連れてやってきた。子猫たちは、お店にやってくる人々に甘えた。
この日を境に、さまざまな人がお店にくるようになった。
「お客さんが猫に服を作ってくれて、着せると楽しそうにポーズを取りました。その姿を見て、猫に会いにくるお客さんが増えたんです」
「服を着た猫のいる貸本屋さん」は新聞やテレビに取り上げられ、お店は有名になった。
「今でも経営はギリギリですが、猫たちが運んでくる縁に力をもらい、がんばって貸本屋を続けています」。
(取材・鈴木美紀)
- 貸本輝らら
- 住所:宮崎県宮崎市昭和町20
TEL:0985-29-0922
営業時間:14:00~22:00(臨時変更あり。要確認)/不定休
ブログ:https://ameblo.jp/kirara5559
Instagram:kirara290922
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