三本足の愛犬は最高の友達 可愛いだけじゃない姿もありのままに
青年誌で活躍するギャグ漫画家の小田原ドラゴンさんが、病気で脚を失った犬との日常を描いたエッセー漫画「ぼくと三本足のちょんぴー」(小学館)を出版しました。2018年10月からインターネットで始めた連載は、今年2月に完結。この漫画に込めた思いを聞きました。
愛犬ががんで脚を切断
――漫画にしたきっかけは
9年前に犬を飼い始めた当初にも、「動物の話を描いてみないか」という話はいただいていた。ただ正直、その時は描く気にはならなかった。気持ちが変わったのは、犬が1歳の時にがんになって脚を一本切ることになったことです。
「もう前のようには散歩はできないのかな」などと考え落ち込んでいた時に励みになったのが、ちょんぴーと同じように脚が一本ない猫が元気に動く動画でした。だから次に話をいただいた時は、私も漫画を通して誰かの励みになれるのではないかと思いました。
――いつもの作品とは、かなり異なる印象です
気をつけたのは、ありのまま、創作を入れないように描くこと。漫画のネーム(ストーリー)にはいつも苦労しているけれど、今回は実際にあったことを描くだけなので困りませんでした。ただ、犬の表情には苦労しました。犬は人間のように泣いたり笑ったりしないから、どうやって犬の心情を表現するかが課題でしたね。
可愛いだけじゃない犬の姿
――どんな思いを込めたのですか
描きたかったのは「可愛い」だけじゃない姿。子犬の頃は夜泣きもするし、大きくなっても毎日散歩に行く。家の中でウンコもされるし、病気にだってなる。夜になれば仕事中でも寝かしつけをしないといけないし、うっかり私も一緒に寝ちゃって仕事にならないこともある。
でも、飼い始めるときに複雑な手続きはなく、「ペットショップでこんなに簡単に買えるの?」と驚くほど。飼い始めたら犬との生活は続いていくのに、「可愛い」だけを強調して安易に飼われてしまうのは嫌だなと思った。だからこそ面倒な部分もしっかり描こうと思ったし、それで批判を受けても仕方ないと覚悟しています。
――ちょんぴーの病気を経験して思うことは
犬が死ぬときに「楽しかったな」と思ってくれるような生活をさせたい、そう飼っていこう、と思っています。
犬から教えられたこともあります。手術から1週間後ぐらいに初めて外に出した日のこと。ちょんぴーは脚が無いことなんて気にしないそぶりで、楽しそうにぴょこぴょこ歩いていた。「犬は今を生きているんだ」と強く感じました。私はささいなことで20年ぐらい恨みに思ったり、気にしたりするタイプなのですが、変わらないことを思い悩んでも仕方ないと教えてもらいました。
愛犬は最高の友達
――漫画ではちょんぴーを友達だと紹介していますね
東京に出て、一人暮らしを始めて二十数年経ちますが、ちょんぴーを飼う前にどうやって生活していたのかが思い出せない。24時間一緒に生活をしていて、犬が一緒だからこそ行きたくなる場所があり、やりたいことが増えていく。自分がつらい時も一緒にいてくれる。最高の友達だと思っています。
(聞き手・浜田知宏)
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