マンホールから子猫の声 消防も出動、「師匠」の技で救われた

 マンホールの下でニャアニャアと鳴いていた子猫。消防署に頼んで捕獲を試みるも、土管の中を移動するため難航。保護主が“師”とあおぐ保護活動の先輩が、なんとか助け出してくれた。

どこからともなく猫の鳴き声

 2013年の夏、大阪府内で猫の保護や譲渡の活動に取り組んでいる辻本麻佐子さんは、自宅にいたが、どこからともなく猫の鳴き声が聞こえる気がした。2時間くらいずっと聞こえていた。

 おかしいと思い、辻本さんは屋外に出て、庭や外周、隣の家の床下までくまなく探して回った。側溝の前にかがんでのぞいても猫の姿は見えない。どうもマンホールの下から聞こえてくるようだった。

 その後も鳴き声が途絶えないので、辻本さんは消防署にレスキューを依頼。頼み込んでマンホールのふたを開けてもらった。

マンホールの下から顔を見せた子猫

 ふたを開けてもらうと、子猫がちょこっと顔を出した。しかし、大騒ぎになっていたので、また引っ込んでしまった。別のマンホールのふたを開けると、ひょこっと顔を出すが、また引っ込んでしまう。隊員の中で一番仏頂面をしていた隊長が、「ニャア」と猫の鳴き真似をすると、子猫も「ニャア」と鳴いて反応した。

愛くるしい子猫時代の天ちゃん

 縦横無尽に走るマンホールの下の土管。ガスが溜まっている可能性もあるため、うかつには人が入ることはできない。放水して、水の流れで押し出して網で受け止めようとしたが、猫のいるところまでうまく水を入れられなかった。

 もう打つ手がなくなった思われた時だった。辻本さんが、猫の保護を一から教わり「師匠」と呼んでいる人が、捕獲器の上にエサを置き、マンホールの中に降ろすと、なんと子猫はぴょんと捕獲器の上に乗り、そのまま引き上げられた。

 地上に出ると、子猫は恐怖心から師匠の手をかんだ。師匠は血を流しながらも、子猫をぎゅっと捕まえてキャリーバッグに入れた。

幸せを願い、譲渡を決意

 辻本さんは、保護した子猫を「天ちゃん」と名付けて家に迎えた。ただし、当時自宅では猫10匹以上を抱えていたので、天ちゃんの幸せを願い譲渡する決心をした。

箱が大好きな猫天ちゃん

 その3年後、天ちゃんは保護猫カフェでデビューした。

 「手放すのがつらくて、ずっと泣いていました。やっぱり手放さなければよかったと思いました」

 辻本さんは、保護猫カフェにデビューしてからも、天ちゃんに何度か会いに行った。最初のうちは、天ちゃんは覚えているらしく、上のほうにいてもダダダーッと降りて会いにきてくれた。だが、そのお迎えがだんだんなくなっていった。その後、無事に譲渡されたと聞いた。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この特集について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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