保護猫の迎え方、マンガで解説 リアルな悩みにも答える入門書
このところ一般的に知られはじめた「保護猫」の存在。そんな中、猫専門誌の猫びより編集部が編集した「まんがで読む はじめての保護猫」(日東書院本社)が出版された。保護猫との出会い方や飼い方、保護猫と仲良くなる方法など、初歩的な疑問に答えながら、起こり得る様々なケースを、優しいタッチのマンガで分かりやすく説明している。これから保護猫を迎えようとする人たちの入門書になりそうだ。
本書では、実例を元にしたマンガで、初めて保護猫たちを迎えた飼い主たちが、夜鳴き、人に慣れない、先住猫と仲良くなれない……などの悩みをかかえながら、それぞれの方法で解決しようと奮闘する姿を紹介している。
保護猫に限らず、実際に猫と暮らすと、容赦のない現実もある。かわいい、癒される……だけはない、リアルな部分もしっかりと伝えていて、初めて猫を迎えようとしている人に役立つ情報が満載だ。
本書は「まんがで読む はじめての猫のターミナルケア・看取り」の続編でもあり、前作で“もすけ”を看取った飼い主の鈴木君が、妻とともに保護猫を迎えるストーリーも見どころだ。
夜鳴き、慣れない…きっと解決する
この本の原作者で、保護猫と暮らすライターの粟田佳織さんに、同書について聞いた。
「猫が可愛くて面白いことや、保護猫を迎える意義はすでに浸透しつつあります。ただ、その前にある現実的な課題も伝えたいと思いました。この本では、夜鳴きや慣れてくれない、先住猫の変化……など、あえて極端な例を紹介しました。本の登場人物たちそれぞれを自分に置き換えてみて、自分なりの答えや考えを持ってほしいと思います」
「実際、トライアル(保護猫を正式に家に迎える前のお試し期間)を数日で脱落する人も少なくないようなので、『みんなそうだよ』『きっと解決するよ』と知っておくだけでも覚悟はできるし、乗り越える原動力になるかと思いました」
「マンガのストーリーは、ボランティア監修の武原さんから聞いた話や、自分の経験、本を作るにあたっての猫談義の中のエピソードを切り貼りしました。例えば、先住猫が仲良くなれないというケースは、周りでよく聞く話で、要は人間の心の持ち方、姿勢の違いだけなんですよね」
「ストーリーを練りながら改めて実感したのは、猫のたくましさです。自分の意思と関係なく、今後どうなるかわからないという状況で、自分なりの方法で不安や恐怖を乗り越え、受け入れる。それどころか、そのうちお腹一杯になろうとしたり、頭を撫でて欲しがったり、あったかい場所を独占したりと、毎日を謳歌しようとする。その生命力を前に、人間が考えるあれこれなんて絶対にかなわないと思いました」
ペットショップの猫より、保護猫は初心者向き
本書でケア指導を行った東京都動物愛護推進員で“スーパーボランティア”の武原淑子さんに、保護猫を迎えるために必要な心得を聞いた。
「猫は心を癒す道具ではなく、感情のある生き物です。ゆえに、信頼関係を築くには時間がかかること、命を引き受けていくことの重みを真剣に考えてもらうことは心構えとして必要です」
「保護猫達は、医療ケアを施され、人馴れをさせてトイレトレーニングも終え、かつ個別の性格や嗜好、癖などをボランティアから教えてもらえるので、ペットショップに商品として一様に並べられている子たちを購入するより、よほど初心者に向いていると思っています。飼育について、アドバイスやフォローをしてくれるボランティアさんも多いはずです」
「保護猫は、ペットショップの子たちと何が違うのかというと、個体にもよりますが、初対面の人やモノに怖がりだったり、人間に警戒する子が多かったりすることでしょうか。これも、決して一様ではありません。人間同士も、仲良くなるにはお互いを知り、安心と信頼を重ねていく必要がありますよね。私達が猫を家族として迎え入れてほしいといつも言うのは、一方的ではない関係を作ってほしいからなのです」
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- 「まんがで読む はじめての保護猫」
- 発行:日東書院本社
編集:猫びより編集部
構成・文・まんが原作:粟田佳織
判型:A5判、128ページ
定価:1,300円+税
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