柴犬さくらは、コーヒー豆店の広報部長 散歩がてら出勤して接客

コーヒー豆店の広報部長、柴犬のさくら

 富山市にあるコーヒー豆専門店に、広報部長の肩書きを持つ柴犬がいる。名前は「宮本さくら(メス・8歳)」。400枚印刷した名刺は、すでに150枚以上配布された。SNSを通じてさくらの存在を知り、「会いたい」と訪れる客は少なくない。また、愛犬家は「うちの子も見てほしい」と連れて来店する。おかげで週末になると、店内は大にぎわいだ。さくらは「結果を出している優秀な広報ウーマン」なのである。

(末尾に写真特集があります)

 富山県では中央にある呉羽山丘陵を中心に、県東部を「呉東(ごとう)」、西部を「呉西(ごせい)」と呼ぶ。その丘陵地のふもと、富山市呉羽町の住宅街にある、自家焙煎のコーヒー豆販売店「くれは珈琲焙煎堂 桝カフィ」が、さくらの職場である。開店して6年目。店主・桝谷寿美さんは23年間の保育士経験がある。激務の日々、自宅車庫に作ったスペースでコーヒー豆を焙煎し、癒やしを得ていた。

 生き方を模索する中で、恩師から「別のことをするなら、体力があるうちに始めたほうがいい」といわれ、家族の支援を得て車庫を改装。コーヒー豆専門店の店主として再出発した。店内で試飲はできるものの、あえてカフェにせず、自家焙煎コーヒー豆の販売のみに特化している。子育て中の若い女性が来店し、コーヒーを飲みながらひと息ついて、育児の相談をすることも少なくない。

「コーヒー好きが高じて、焙煎をしていたら人に振る舞いたいと思ったのです。元保育士で、子育ての先輩ではありますが、コーヒー店のおばさんとして接しています。そのほうが気楽に子育て談義ができるから」

柴犬さくらと飼い主の宮本さん。ほぼ毎日、散歩の途中に店に足を運ぶ

柴犬の広報部長がお相手

 焙煎してある豆を何種類でも試飲できるシステム。日曜日の午後に来店すると、店内では10人以上の来店者がコーヒーを飲んでいた。その輪の中央に、「広報部長・さくら」が座り、子連れママに代わって子どもの相手をしていた。飼い主は、宮本順子さん。歩いて1 、2分のところに住んでいる。

「我が家の犬としては3代目です。初代・コロは7歳と若くして病死、2代目・タロウは18年生きましたが、2012年1月に亡くなりました。ペットロスに耐えかね、同じ年にさくらを迎えました。来たばかりの時の姿は『何だか、カワウソみたい』と思いました。2月22日の『猫の日』に生まれています」

桝カフィの「広報部長・さくら」の名刺。400枚印刷し、すでに150枚以上配布した

 店は散歩するルートの途中にあり、宮本さんは午前5時半と、午後6時に出かけ、30分から1時間歩くという。さくらは閉店1時間前に来て、居眠りをして帰っていく。頻繁に通っていると5年ほど前、桝谷さんから「広報部長」の打診を受け快諾。印刷した名刺を手渡された。

SNSで評判を呼ぶ

 SNSにさくらの情報がアップされると、「さくらに会いたい」という新規の客が続々とやってきた。「飼い犬が亡くなり、ペットロスになった母を連れて行きたい」などの声も聞こえてくる。「犬が人と人をつないでくれる」と桝谷さんは感謝しているが、実は犬が苦手らしい。子どものころ、犬に追いかけられたことがトラウマとなった。しかしさくらは突進してくることはなく、子どもにも優しいので、安心して接することができる。

桝カフィの店主・桝谷さん。さくらに好物のキュウリをあげる

 多くの客が訪れていたある日曜日の午後、さくらは子どもの手から好物のキュウリを食べてご機嫌だった。さくらのファンは増え続け、家庭菜園が趣味の常連客がキュウリを持ってきてくれたりもする。

 桝谷さんによると、「さくらブルボン」というブラジル産のコーヒーが毎年2月、入荷する。深く焙煎すると甘く、軽く焙煎するとさわやかな味わいがするとのこと。今年も入荷し、売れ行き好調である。「さくら」がお目当ての客は少なくない。

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「くれは珈琲焙煎堂 桝カフィ」のHP
若林朋子
1971年富山市生まれ、同市在住。93年北陸に拠点を置く新聞社へ入社、90年代はスポーツ、2000年代以降は教育・医療を担当、12年退社。現在はフリーランスの記者として雑誌・書籍・広報誌、ネット媒体の「telling,」「AERA dot.」「Yahoo!個人」などに執筆。「猫の不妊手術推進の会」(富山市)から受託した保護猫3匹(とら、さくら、くま)と暮らす。

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