民家などに少なくとも20匹の猫の死骸 飼い主と「連絡取れず」
群馬県みなかみ町鹿野沢の民家と元民宿の建物計2棟に少なくとも計20匹の猫の死骸が放置されているのを、動物愛護活動を行うNPO法人が見つけた。多くはミイラ化や白骨化し、腐敗が進んでおり、共食いの形跡もあったという。県警沼田署は、動物愛護法違反の疑いもあるとみて調べている。
NPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」(高崎市)によると、民家の家主の女性から「猫の里親探しで相談したい」と連絡があり、今月4~5日に2棟に入ったところ、民家で19匹、元民宿で1匹の死骸を発見した。尻尾や骨だけの死骸もあり、正確な数は不明という。NPOの担当者は「残っている毛の量からして、もっとたくさんの猫が死んだと考えられる」と話す。
猫は、数年前から元民宿に住んでいた男性が飼育していたが、男性は2018年7月に死亡。その後、家主の知人男性が飼育を引き継いだが、「9月中旬から連絡が取れない」と家主は話しているという。
NPOによると、猫の死骸があった部屋の入り口は外側から釘や針金で閉ざされ、部屋には大量の乾燥したふんが残されていた。壁には、猫が外に出ようとして引っかいたとみられる無数の爪痕が残っていた。猫の多くは、食事用の容器の周囲で死んでいたという。
担当者は「長い間飢えて、絶望の中で死んでいったと思うと、猫たちがかわいそうでならない。こんなひどいことをするなんて信じられない」と涙ながらに語った。
近所の70代女性は「7月下旬が腐臭のピークだった。ハエもかなり飛んでいて不快だった」と憤る。近隣の住民の多くは、ハエ取り紙を玄関先に設置するほどだったといい、「臭いは落ち着いてきたので安心した」と話す。近所の男性は「7月ごろに家主に注意をしたことがある。飼い主とは近所付き合いがなく、いい迷惑だった」と話した。
NPOに対し家主は、苦情を受けた後も知人男性から「ちゃんと飼っているから大丈夫」と言われ、特に確認はしなかったと話しているという。
現場はJR水上駅西側の一角。猫の死骸が放置されていた民家や元民宿にはブルーシートが張られるなどしており、人の気配はなかった。
(中村瞬、山崎輝史)
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