犬や猫のマイクロチップ義務化、災害時に効果期待 管理に課題も

 販売用の犬猫へのマイクロチップの装着義務化などを柱とする議員立法の改正動物愛護法が12日、参議院本会議で全会一致で可決、成立した。チップは遺棄や虐待を防ぎ、災害時などに飼い主を特定しやすい効果がある一方、課題も指摘されている。

 改正では、チップ義務化のほか、子犬・子猫の販売を始められる時期を現状の生後49日(7週)超から同56日(8週)超に改めた。例外として、特定の条件で繁殖か販売される「天然記念物として指定された犬」(日本犬)は生後7週超となる。

 またペットの虐待対策などとして、殺傷に対する罰則を5年以下の懲役または500万円以下の罰金に強化、虐待や遺棄の罰則に1年以下の懲役を加える。施行日は原則として公布から1年以内。ただ、8週超は2年以内、マイクロチップ装着の義務化は3年以内。

 チップは直径約2ミリ、長さ10ミリ前後。注射器に似た器具で犬猫の首付近に埋め込むのが一般的だ。記録された15桁の番号を専用機器で読み取る。装着は現状では獣医師だけが行え、数千~1万円ほどかかる。

 現在の装着、登録数は犬猫あわせて約200万匹。義務化で大幅に増える。全国の繁殖業者は1万2235(18年4月時点)。繁殖、販売される子犬、子猫だけで年間50万匹程度とみられる。

 利点は災害時にはぐれた犬猫を見つけやすいことや、飼い主による遺棄の防止など。義務化を要望してきた日本獣医師会の境政人専務理事は「災害対応を考えれば義務化は絶対に必要だった」と歓迎する。熊本地震では、熊本県と熊本市が収容した犬猫のうち犬7匹がチップを装着し、6匹の飼い主が判明した。

 チップをめぐるトラブルも起きている。埼玉県の保護猫カフェで今年1月、猫5匹に装着したチップについて、製造元が書類に記した番号と、読み取った際に表示される番号が違った。番号が違えば飼い主を正しく照合できない。栃木県では装着後に犬猫の体内でチップが動き、機器で読み取れない事態も起きた。

 どの組織が環境相の指定を受けて飼い主の情報の登録機関となるかも課題だ。現在は3組織がおのおの登録業務を行っているが、適切な管理が求められる。

 公益社団法人「日本動物福祉協会」の町屋奈(ない)・獣医師調査員は「義務化のメリットと問題を、もう少し調査、検討する必要があったことは間違いない。環境省は細かく制度設計をすべきだ」と要望する。

(松尾一郎、太田匡彦)

【関連記事】
愛猫が失踪、再会への備えは 猫は生活圏外で方向音痴に
ペットと同行避難、備えあれば 環境省、飼い主向け指針公表

朝日新聞
朝日新聞に掲載されたオススメのペット記事を紹介しています。

sippoのおすすめ企画

sippo猫塾の参加者募集!服部幸先生にじっくり学ぶ6回講座

猫のために絶対に知っておきたい知識を、猫専門病院「東京猫医療センター」院長の服部幸獣医師にじっくり学びましょう

イチオシ記事を毎週お知らせします
お役立ちから感動のストーリーまで
編集部のイチオシ記事を
毎週金曜日にメルマガでお届けします。
Follow Us!