住民が消えた賃貸住宅に残された子猫 元気なおてんば娘に成長
ペットを飼える賃貸住宅が増えてきたが、それでもペット不可の賃貸住宅で密かにペットを飼う人もいる。そんな賃貸住宅の片隅で、取り残された子猫が見つかった。
部屋に残された子猫たち
2017年の夏の終わり頃。大阪のある賃貸住宅に、ずっと賃料を滞納して、連絡が取れない住民がいた。孤独死している恐れもあり、不動産業者が室内に立ち入ると、何もかも置いたまま夜逃げしたようだったという。
そこはペット不可の賃貸住宅だが、室内には明らかに猫が暮らしていた痕跡があり、糞尿にまみれていた。しかし、猫の姿は見えなかった。
室内の確認を終え、業者はいったん部屋を出ようとした。その時、猫の鳴き声がしたという。「まさか、猫?」と探してみると、なんと子猫が4匹いたという。生後間もない子猫。母猫の姿もなく、水も空調もない部屋で、すでに1匹は絶命していた。
保護され、一命を取り留める
不動産業者は残された家財道具を不用品として処分せねばならない。普通なら、猫たちも持ち主不明のモノとして、処分されてしまう運命だ。だが、この担当者は、仕事ではなく、個人として、保護団体「ワンハート大阪」に連絡して保護をお願いしたという。
生きていた3匹のうち1匹がモモちゃんだった。保護当時は小さくて、なんとも弱々しい子猫だったという。それでも、預りボランティア宅ですくすく育ち、激しくおもちゃで遊ぶ、おてんば娘に成長した。
大阪府内に住むAさんは、「くまくん」という男の子の保護猫を飼っていた。ワンハート大阪から譲渡してもらった猫だった。ただ、このくまくん、5歳の成猫なのだが、留守番が大の苦手。実家に帰省した時、1~2泊留守番させただけで、憔悴しきってしまったという。そこで、大人しい性格のくまくんと相性の合う猫を飼おうと、ワンハート大阪の譲渡会に行ってみたのだった。
最初はケンカ、でも、仲良しに
譲渡会に行くと、ちょうど3時頃で猫はお昼寝タイムだった。その中で1匹だけ寄ってきて「ニャア」と鳴いたのが、モモちゃんだった。2017年の秋、子猫のモモちゃんは、Aさん宅にやって来た。
「ただ、実際にくまくんと対面すると、早く距離を縮めたいくまくんと、距離を置きたいモモちゃんは取っ組み合いの喧嘩を何度もして、怪我をしたくまくんは2度病院にかかりました。ワンハート大阪の担当者に相談すると、『モモちゃんは普段は攻撃するような子ではないので、あまり人が介入せずに見守ってあげてください』と言われました。心配ではありましたが、縄張り意識のあるネコ科ならではのことなんだと思いました」
その後次第に2匹は仲良くじゃれ合うようになった。寒い時にはくっついて眠ったり、互いになめあったり。2匹で留守番をさせても、くまくんは前のようにヨレヨレにはならなくなったという。モモちゃんが来るまで、まるで置物のように大人しかったくまくんだが、朝には2匹で“運動会”をするまでになった。
今では、くまくん6歳、モモちゃん1歳半。年は離れているが、兄と妹のようなパートナーになっている。
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