トライアルから戻された猫 縁あって“同級生”宅に引き取られる

 ほとんどの保護団体は、犬や猫を譲渡する際にお試し期間(トライアル期間)を設けている。この間、実際に一緒に暮らして、飼い主や先住動物との相性を確かめることができる。だが、トライアルから戻されてしまう犬や猫もいる。キジ猫のロビンソンくんもそんな1匹だった。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府能勢町にある保護団体「ARK」は、イギリス人のオリバーさんが運営。英語のホームページもあり、外国人の譲渡希望者や協力者らも訪れる。

 ロビンソンくんは2015年5月、外国人が保護してARKに連れてきた猫だった。どういう経緯で保護されたのかは不明だが、当時生後1~2カ月くらいの子猫だったという。

幼い表情が可愛いロビンソン
幼い表情が可愛いロビンソン

トライアルから戻った猫

 ARKは山深い所にあるため、大阪市や神戸市の街中で出張譲渡会を開くことがある。その後の飼い主になる松浦さんは、この譲渡会でロビンソンくんと初めて対面した。

 松浦さんはロビンソンくんを気に入ったが、すでに譲渡先が決まっていたため、一度はあきらめた。その後、ARKのホームページを見ていると、保護猫の紹介ページにロビンソンが載っていた。

 ARKに問い合わせると、いったんトライアルに出されたが、「前に飼っていた猫に似すぎていて、つらくて」と、返されてしまったのだという。

 松浦さんの夫は「これは運命だ」と思ったそうだ。ARKの担当者から「人懐っこくて性格がいいんですよ」とすすめられ、ロビンソンくんを引き取ることにした。推定1歳の時のことだった。

もの言いたげな2匹
もの言いたげな2匹

“同級生”の猫と再会

 松浦さんはロビンソンくんの前に、やはりARKからメイちゃんという猫を譲り受けていた。実はロビンソンくんとメイちゃんは、同じ子猫舎にいた“同級生”だった。年も近いため、留守番中も2匹仲良く遊ぶのではないかと期待したという。

 ところが、2匹は半年ぶりに松浦家で対面すると、互いシャアシャアと威嚇し合った。

 それでも対立は2日間くらいで治まったという。すぐに追いかけっこをしたり、ロビンソンくんがメイちゃんにくっついて顔や頭をなめてもらうようになった。

 一度はトライアルからシェルターに戻されてしまったロビンソンくん。運命は巡り巡って松浦家で幼なじみと再会。2匹は思い思いのスタイルでのびのびと暮らしている。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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