サークルに入れると吠える犬 中でリラックスできる環境を

サークルに飛びついて外に出たがっている犬
サークルに飛びついて外に出たがっている犬

 サークルに入れると、犬がすぐにドアをガリガリしたり、吠えたりするのはそこが不快な場所になってしまっているからです。まずは狭く囲まれた場所でリラックスできるようにトレーニングが必要です。最初はサークルの中で食事を与えることから始めても良いでしょう。少しずつ時間を延ばすためには、サークルの中にフードをばらまいて入れたり、知育玩具に入れたりするのも良いでしょう。

 また食べものがあればサークルには入るけれど、しばらくしたら吠え始めるのはサークルの中が退屈だからです。サークルの中がリラックスして眠れる場所になるようにしっかりエネルギー発散をし、居心地の良い場所にし、あとは眠るだけという状態にしてあげるのがコツです。

 サークルに入れる時には以下のことを心がけてみてください。
〇しっかりお散歩や遊びで疲れさせる
〇水分補給をして排泄を済ませる
〇サークルの中には心地よい敷物を敷いておく
〇ガムやおやつの入った知育玩具などの時間が持つ食べ物などを一緒に入れる
時間をかけてガムやおやつを食べた後、うとうとし始めれば成功です。

 ひと眠りして目覚めたら再び出してくれと吠え始めるかもしれません。そもそもサークルに犬が退屈するほど長時間閉じ込めるのは適切な飼育方法とは言えません。何もないサークルに長時間閉じ込められて吠えるのは、犬の問題ではなく飼い方の問題です。あなたが何もない狭い部屋に長時間閉じ込められたらどんな気持ちになるでしょう? 犬は社会性が高くとても利口な動物です。飼い主の都合で狭い場所に閉じ込めなければならない場合には、その前後で十分な刺激を与えてあげるべきです。

 よく犬が吠えている時にサークルから出してはいけないといいますが、それは犬がサークルに慣れ、そこでリラックスするトレーニングをした後のことです。喜んでサークルに入るようになる前に閉じ込めてしまうとサークルは嫌な場所になってしまい、犬はその嫌な場所で長時間過ごさなければならなくなります。

 喜んで入るようになるまでは、犬が吠え始める前に出すように心がけましょう。十分なエネルギー発散をし、排泄を済ませ、心地よい敷物(夏場の場合はむしろ何もない方が良いこともあります)を敷いて、退屈しのぎのおやつなどとともに喜んで入ったのであれば、途中で吠えだしたときに無視してもかまいません。犬が吠え止んでリラックスしているタイミングで出してあげるようにしましょう。

 最後に、金魚を水槽に入れて飼うように犬はケージで飼うものと思っている人もいるようですが、犬は安全な環境を提供し、きちんと教育すれば人と同じ空間で問題なく暮らせる動物です。私自身は犬を苦手な方が家に来るなど特別な理由がなければ犬をケージに入れることはありません。犬を長時間ケージに入れなければならない理由がある場合は、その問題を解決する方法も考えた方が良いでしょう。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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