ネットで見つけた猫を引き取る すると、子猫も現れ…2匹飼いに

 犬や猫との出会いも、縁あってこそ。保護団体のホームページで見初めた保護猫を譲り受けた。すると、その直後に、庭先に子猫が現れた。

(末尾に写真特集があります)

 元野良猫のミイちゃんは、推定5、6歳。岩井家にやってきて丸2年になる。母猫だったミイちゃんは子猫たちと一緒に保護され、保護団体「ARK」(大阪府)で暮らしていた。ずっと母子一緒の猫舎にいたというから、それはそれで幸せだったのだろう。

 一方、東大阪市に住む岩井さんは、大切にしていた三毛猫を失い、体調を崩していた。猫が元気だった頃は、亡くなっても受け止められるだろうと思っていたという。ところが、いざ死んでしまうと、そう簡単ではなかった。

「途端に家の中が寂しくなってしまったんです。いつもいてくれたのに……」

立派なヒゲもチャームポイント
立派なヒゲもチャームポイント

気になる三毛猫の写真が消えた

 岩井さんは、悲しみをいやすため、インターネットで保護猫が載っているサイトを閲覧していたのだが、その時ARKのホームページでミイちゃんを見つけたという。可愛いと思ったが、すぐには会いに行けなかったので、毎日ホームページで見ていたそうだ。

 そんなある日、ミイちゃんのプロフィール写真が、ホームページから消えた。「もらい手が決まってしまったのだろうか」。偶然、ご主人もミイちゃんがサイトから消えたことに気づき、2人でショックを受けたという。翌朝、いてもたってもいられず、ARKに電話で問い合わせると、「ホームページのメンテナンスをしていて、消えただけ」ということだった。

「実際にミイちゃんに会いにARKに出向くと、誰よりも息子が、『ミイちゃんがいい!』と気に入ったんです。子猫にしようかと迷ったのですが、先代と同じ三毛猫で、人馴れしていたミイちゃんを引き取ることにしました。子猫たちと暮らしていたので、引き離すのは躊躇しましたが、いきなり何匹も飼えない。かわいそうだったけど、ミイだけを譲渡してもらいました」

夜鳴き、脱走騒ぎ

 楽しい猫ライフが再び始まるはずだった。だが、家にやって来たミイちゃんは、夜になると、キャアキャアキャアと鳴くようになった。ご飯は食べるのだが、ずっと部屋の隅に隠れていた。家に馴染み、落ち着くまでに2週間くらいかかった。

「ところが、馴れてきたと思った頃、逃げ出してしまって、夜になっても帰ってこなかったんです。やっぱり嫌やったんやな。合わないものは合わない。仕方がないと思いました」

 だが、諦めかけた時、ミイちゃんが帰ってきた。

「ここを自分の家だと思っているんやなあ……。そう思うと嬉しかった」

 それからミイちゃんは甘え上手になり、初めて会う来客にもすり寄っていくようになったという。

一緒に外を眺めてのどかな一日
一緒に外を眺めてのどかな一日

庭にやって来た子猫

 ミイちゃんを迎えて2カ月後、岩井さん宅にもう1匹猫が加わることになった。庭に突然1匹の子猫が現れたのだ。まぁちゃんと名付けて飼い始めた。

 ミイちゃんは先輩猫らしく振る舞い、まぁちゃんが外に出ていこうとすると、知らせに来てくれる。ご飯もミイちゃんが先に食べるという。

「ミイの前に飼っていた猫も拾ったんです。私は、運命の出会いに弱いところがあって。でも、ミイの場合は、こちらから出会いを探しに行きました。社会的にも協力できたと思っています」

 2匹の猫に囲まれ、岩井家はすっかり明るさを取り戻した。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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