ブリーダーが手放したフレ・ブル 先代と同じ犬種を引き取る

 ブリーダーが不要になった繁殖犬を手放し、愛護団体に保護されることがある。5歳のフレンチ・ブルドッグが今年夏、保護され、すぐに新しい飼い主のもとに引き取られた。

(末尾に写真特集があります)

なかなかのハンサムでしょ
なかなかのハンサムでしょ

すぐに譲渡先が決まる

 ある繁殖業者が、規模を縮小するからと、犬を手放した。そのうち1匹が5歳のフレンチ・ブルドッグだった。ハニーパイドという人気の毛色。2018年7月に「ひだまりとひるねの会」に保護され、「ペットのおうち」という保護動物サイトで引き取り手の募集を始めた。

 大阪府内に住む田邉さん夫妻は、2018年3月に13歳のフレンチ・ブルドッグを失ったばかりだった。夫が「フレ・ブルならいいよ」と言うので、なんとなくインターネットを眺めていた。ペット産業の裏側で、繁殖犬が苦しんだり、売れない動物がひどい扱いを受けたりしていることを知っていたので、2代目の犬は保護犬と決めていたそうだ。

 ちょうどその頃「ペットのおうち」で引き取り手を募集していたフレンチ・ブルドッグが目にとまった。「5歳の成犬だったので、手をあげたんです。子犬は体力的にしんどいし、逆に年老いた犬だと、先代の子を失った傷も癒えていないので、すぐに亡くなってしまったら耐えられないと思ったんです」

 5歳のフレンチ・ブルドッグは、まさに希望にあっていた。2018年8月に譲渡され、「ばんくん」と名付けた。

お散歩もがんばってるよ
お散歩もがんばってるよ

散歩も知らなかった

 だが、ばんくんは元繁殖犬。そのためだけに働かされてきたため、犬らしい健康的な家庭生活を知らなかった。

 5年間ずっとケージに入れられていたようで、まだ若いのに床ずれができていたという。歯も放ったらかしだったようで、歯槽膿漏になっていたそうだ。

 最初のうちは、散歩もしたことがなかったらしく、飼い主さんと一緒に歩くことを知らず、あちこち好きな方に行こうとした。トイレも知らないため、家の好きなところで排泄してしまった。田邊家に来て、だんだん散歩もできるようになり、トイレも外でするようになった。

 幸せになったのは、ばんくんだけではない。田邊夫妻は、ばんくんを迎えてから再び張り合いができて、生活リズムが改善し、良く眠れるようになったという。先代の子の半分はばんくんの中で生きていると思ってかわいがっている。互いに無くてはならないパートナーになったようだ。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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