「猫は寒がり」は本当? 猫に適した暖房、暖め過ぎにご用心
「猫はこたつで丸くなる」と歌にもあるように、「猫は寒がり」と考えられがちです。でも、それって本当でしょうか? ペットと快適に暮らす家づくりに詳しい建築家の金巻とも子さんに、猫に適した暖房や注意点について聞きました。
猫ちぐらや屋根つきベッド、キャリーバッグを活用して
金巻さんは「猫は人が思うほど寒がりではありません」と指摘します。「暖房をつけっぱなしにしていると、猫が暑がることも。それよりも『猫ちぐら』のような暖まれる場所を作ってあげるのがおすすめです」
猫ちぐらとは、雪でつくる「かまくら」のような形をした屋根付きの猫用のベッドです。工芸品として作られた物は高価ですが、屋根のあるドーム状のものならなんでもOKで、屋根つきベッドやキャリーバッグでも代用できるそうです。
「もぐりこんでいると猫自身の体温で中が暖まり、ちょうどいい環境になります。電源の入っていないこたつも形は良いのですが、大きすぎて中が温まりにくいので、猫を包み込めるサイズのものをお気に入りの場所に置いてあげるといいでしょう」
中でもキャリーバッグは、普段から猫ちぐらとして利用すれば、外出時にも嫌がらず入ってくれるので、一石二鳥だといいます。
ただ、生後半年未満の子猫や10歳以上の高齢猫は体温調節機能が弱いので、冷暖房を活用して室内を20~24度程度に保つ方が良いそうです。
床暖房やホットカーペットは熱中症や低温やけどに注意
もちろん、飼い主と過ごすときは暖房を利用してよいのですが、暖め過ぎには注意しましょう。猫は寒さを感じると、家具やキャットタワーなどに上るなどして温かい空気の貯まる場所に行けるので、人には少し肌寒いかなと感じる程度がちょうどよいそうです。
また、ペットのいる家には、暖房器具にも向き不向きがあります。最も適した暖房器具は風を出さないオイルヒーターで、床に近い場所で温風を吹き出す石油ファンヒーターは毛埃を巻き上げやすくペットのいる家には向かないといいます。
「ホットカーペットといった接触暖房は低温やけどの危険があるので、使う場合は設定温度をなるべく低くして、猫がいつでも冷たい場所に逃げられるようにしておきましょう。暑くなりすぎない床暖房でも、猫ちぐらを直接置くのはNGです。どちらも、張り付いて体に熱がたまりやすく熱中症の心配があるので、お水が飲みやすいように水飲みを数カ所設けましょう」
エアコンを使う場合は、運転中に猫がエアコンの上に乗ることのないよう注意が必要です。吸気口をふさいで性能が落ちてしまうおそれがあるからです。家具やキャットタワーはエアコンから離すなど、エアコンに向かう通路を作らないようにしましょう。
かねまき・こくぼ空間工房主宰。一級建築士、一級愛玩動物飼養管理士、家庭動物住環境研究家。設計業務の他、ペットとの快適な暮らしをテーマに住環境コーディネーターとしても活動。著書に『猫と暮らす住まいのつくり方』(ナツメ社、監修)『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、『マンションで犬や猫と上手に暮らす』(新日本出版社)、『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)がある。2019年2月16日、17日の、「ちよだ猫まつり2019」に「ねことりびんぐ」という出店名でチャリティ参加。
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