公園に放置されていたゴールデン やっとたどりついた幸せな家
そのゴールデンレトリーバーは、公園に1匹でいたところを保護された。元飼い主が所有権を放棄し、たどりついたのが今の家だ。愛情を注がれ、ようやく幸せを手に入れた。
「妻がいらないと言うので」
そのゴールデンレトリーバーが発見されたのは、奈良県内のある公園。そこから動こうとしなかったため、近所に住んでいたトリマーさんが保護した。まだ幼く、肋骨が見えるくらいに痩せこけていたという。
プロがトリミングしたような毛並みで、迷子の可能性もあったため、トリマーさんはひとまず保健所や警察に届け出た。一方で、里親募集サイトにも掲載し、それを見て希望してきた人に譲渡することを決めたという。
それから2週間が過ぎた頃、トリマーさんのもとに、飼い主だという男性から電話があった。「警察で聞いたのだが、その犬はうちの犬だから、返してほしい」と言う。さらに、その日の夕方になって、再び男性から連絡があり、「やはり、妻がいらないと言うので、私もいらない」と言ったのだった。
この男性が犬を捨てたのか、犬が自分で脱走したのかは定かではない。ただ、男性宅から犬がいなくなったのは数カ月前のことだという。男性にトリミングに出したことがあるかと尋ねると「ない」という。しかし、トリミングされた形跡があったため、トリマーさんに保護される前に、この男性以外の誰かが飼っていたことになる。そして、手に負えなくなって持て余したのか、公園に捨てたのだと考えられている。
3匹目のゴールデンレトリーバー
その保護された犬を引き取ることになった倉光さんは大の動物好き。なかでもゴールデンレトリーバーが大好きだ。
1代目の犬を8歳で、2代目の犬を4歳で失い、その3ヶ月後、パソコンで譲渡先を募集している犬を探していた。その時目にとまったのが、そのゴールデンレトリーバーだった。
倉光さんは譲渡を希望したものの、不安もあったという。
「病気を持っていたらどうしようと思いましたが、幸いトリマーさんが、動物病院で検査を受けさせてくれていました。また、すでにトイプードルとチワワのミックス犬『ログ』を飼っていたので、相性も心配でした」
夫に「気になるなら、ログを連れて見に行ったら」と背中を押され、先住犬のログと一緒に面会。相性を確認して譲渡が決まった。
不老長寿の願いを込めて
倉光さんは、3代目のゴールデンに「不老長寿」という意味を込めて「もも」と名付けた。
当時はまだ1歳にもなっていないようで、体重は12キロだった。今では、倍の24キロになり、元気いっぱいのお転婆さんに成長した。
飼い慣れた犬種ではあったが、一から自分の手で育てた犬に比べて、しつけには根気がいったという。「最初は散歩もできない子だったので、おもちゃで気を引いて歩かせました。しつけも何もされたことがないようだったので、愛情をたっぷりかけて、徐々に慣らしていきました」
今まで受けたことがないような愛情を注がれ、「もも」は過去のつらい経験がなかったかのように、幸せに満ちた表情をしている。
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