市営住宅に猫40匹、姉妹を書類送検 避妊去勢手術せず放し飼い

名古屋市動物愛護センターで保護された猫=2018年6月9日午後1時43分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影
名古屋市動物愛護センターで保護された猫=2018年6月9日午後1時43分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影

 名古屋市北区の市営住宅の一室で、猫約40匹を不衛生な環境で飼っていたとして、この部屋に住んでいた40代の姉妹の2人が25日、愛知県警に動物愛護法違反(虐待)の疑いで書類送検された。

 2人の容疑は、4月上旬~6月上旬、猫のふんや尿が放置された市営住宅の室内で、猫約40匹を飼育し、虐待した疑いがあるというもの。ともに容疑を認めているという。

強制執行が行われた名古屋市営住宅の一室と名古屋地裁の職員ら=2018年6月11日午前11時0分、名古屋市北区桐畑町、西岡矩毅撮影
強制執行が行われた名古屋市営住宅の一室と名古屋地裁の職員ら=2018年6月11日午前11時0分、名古屋市北区桐畑町、西岡矩毅撮影

「今考えれば甘かった」

 書類送検の前、姉は朝日新聞の取材に応じ、管理が行き届かなくなるまで増えてしまった猫の飼育の経緯などについて語っていた。

 姉によると、猫を飼い始めたのは、別の借家にいた約6年前。同居の妹が知人から3匹を引き取ったのが始まりだった。避妊・去勢手術は「妹から『手術をしたら猫が太る』と拒まれた」といい、しなかった。当初は雄と雌で分けていたが、「ケージでは可哀想」と感じて放し飼いにし、手術は猫が多すぎてできなかったという。知人に譲った猫が交通事故で死んだこともあって「猫を人にあげられなくなった」という。

 一緒に世話をしていた妹の体調が悪くなり、汚物の世話もなおざりになっていったという。姉は「猫には名前をつけ、誕生日も覚えていた」というが、「今考えれば甘かった。虐待になるとは思わなかった」と振り返った。

姉妹の部屋の窓からは猫の姿が見えていた=2018年5月30日午後1時30分、名古屋市北区桐畑町、西岡矩毅撮影
姉妹の部屋の窓からは猫の姿が見えていた=2018年5月30日午後1時30分、名古屋市北区桐畑町、西岡矩毅撮影

「身の丈に合った飼育を」

 周囲には影響も出ていた。市営住宅の住民らは「マスクをしないと家の前を歩けないくらい臭かった」「扉の前はふんや尿で汚れ、昨夏は窓が開けられず、扇風機でしのいだ」と話す。「死んだ子猫もみた」という人もいた。

 飼い主が世話をしきれなくなるほど動物をため込んでしまう多頭飼育の現場から猫を保護しているNPO法人「ねこけん」(東京)の溝上奈緒子代表によると「『多頭飼育崩壊』といわれる飼い主は、猫をとても可愛がっていることがほとんど」という。捨てられた動物を見てかわいそうだからと飼育して数が増えるが、避妊手術などの費用が出せず、手に負えなくなることが多いという。「猫は繁殖力が強く年に平均2回、3、4匹くらいずつ子供を産む。身の丈に合った飼育を」と呼びかけている。

引き取った猫の中には妊娠していた猫もおり、保護した先で子猫を産んだ=2018年6月9日午後1時19分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影
引き取った猫の中には妊娠していた猫もおり、保護した先で子猫を産んだ=2018年6月9日午後1時19分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影

同意なしの保護、難しい現状

 公益社団法人「日本動物福祉協会」(東京)の町屋奈(まちや・ない)獣医師によると、海外でも劣悪な環境下での多頭飼育崩壊が注目されている。英国などは、こうした多頭飼育も動物虐待ととらえ、飼い主から飼育資格を剝奪するなどの対応を取っている。だが、日本では飼い主の所有権が強いため、今回の名古屋市のケースのように飼い主の同意が得られない限り、動物を保護するなどの強制措置をとることはできないという。町屋さんは「どんなにひどい虐待状況にあっても、動物を保護したボランティアが逆に飼い主から訴えられることもある。飼い主の同意なしに保護することは難しいのが現状」と話した。

名古屋市動物愛護センターで保護された猫=2018年6月9日午後1時46分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影
名古屋市動物愛護センターで保護された猫=2018年6月9日午後1時46分、名古屋市千種区平和公園2丁目、西岡矩毅撮影

 名古屋市動物愛護センターは、姉妹の部屋にいた猫45匹を保護。このうち、25日現在で12匹は引き取り手が見つかった。残る33匹の引き取り手も募集している。問い合わせは同センター(052・762・1515)。

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朝日新聞
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