まねできない“猫様の力業” 甘えたい時は徹底して甘えて、要求
猫と暮らす以前は、猫というものはドライで単独行動が好き……だとばかり思っていましたが、今ではスキンシップの時間が必要だと常々実感しています。
我が家のキジトラ猫のモモは、ビビりで大人しく、ほとんど眠って過ごしているので、遊びをせがむこともありませんが、1週間に1度ほど、ものすごく甘えてベタベタになる瞬間があります。
気配を消して過ごしている方が多いモモも、いったん甘えだすと、結構しつこいのです。
「ニャオン、ニャオ~ン」と鳴きながらソファに座る私の体によじ登ってきます。
「モモちゃん、暑いよー」
と言ってもやめないので、この時とばかりに、目やにを取ったり、爪を切ったり、シャンプータオルで体を拭いたりと、普段は嫌がりそうなことを全てやらせてもらいます。
湿った布で体を拭くのは特に嫌がるはずなのに、甘えたい気持ちが勝るのか、すんなり拭かせてくれるのは便利です。
ひとしきりモモのお世話をして、撫でてやると満足して眠りにつきます。
一方、サビ猫のあんずは、遊びでコミュニケーションを取ろうとします。
毎日毎日、飽きもせず、鳴いて鳴いて、鳴きまくって要求をしてきます。
要求される前に遊んであげなよ、ってところもありますが、あんずの気分が乗らない時、人間の都合で遊ぼうとしても、一切乗って来ないため、結局は要求がピークの時に遊ぶ形になります。
当然、猫様優先なので、作業を中断してあんずと遊ばなければなりませんが、人間が食事中のときだけは、なぜかあんずは待っていてくれます。
“食事は何より大切である!”と、自身と重ね合わせて理解してくれているのでしょうか。なんとも健気です。
しかし、食べ終わって箸をおいた瞬間に“鳴き要求”が始まり、おもちゃで遊ぶわけですが、7歳という年齢になったので、大暴れして遊ぶ日は疲れて早めに終わります。あまり暴れない日は長々遊びに付き合わなければならず、いずれにせよ一通り遊び、おもちゃに興味を失い始めたとき、遊びは終了になります。
「今日も遊んだねー」とお互い一仕事終えた後に、夫が帰宅すると、今度は夫にも遊びを要求するあんず。
さっきあれだけ息も絶え絶えになるほどハッスルしたでしょうがー……という日でも、夫が相手をしてあげるまで鳴きやみません。
なので、夫も私と同じくらいの時間か、それ以上あんずと遊ぶことになります。
以前、何度遊んでも鳴きやまない時は、猫がぴったり入る段ボール箱に入れてしまえばピタッと鳴き止む、とご紹介したことがありましたが、私と夫それぞれ1回遊んでからでないと効果はありません。
テレビを見ながらでも可能な“レーザーポインター”のような猫用おもちゃで、適当に走らせる方法もありますが、こちらが適当だと“真面目にやって! あたしとちゃんと向き合って!”と言いたげな顔をして、抗議の鳴きが始まるので、手を抜けません。
あんずは、遊びそのものより、我々とのコミュニケーションを欠かしたくないのだということがよく分かります。ともに暮らす2人とそれぞれ遊びたがるし、自分のことを見てほしい気持ちが伝わってくるからです。
人間の場合、コミュニケーションが足りないなと一人が思っても、なかなか強引には解決できないことのほうが多いもの。猫の場合は、“猫様の力業”でコミュニケーション不足を一発解消させてしまうところは、すごいことだなと感心するばかりです。
(ヤスダユキ)
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