殺処分から救われた保護犬たち 救助犬めざしてNPOが訓練中
野良犬だったジーク君とニコちゃん(いずれも推定3歳)が、災害救助犬になるための訓練に取り組んでいる。西日本の豪雨災害にも出動したNPO法人日本捜索救助犬協会(埼玉県久喜市)のメンバーや先輩犬とともに、救助犬の認定試験合格を目指す。
セッターのジーク君は1月下旬からほぼ毎日、日本警察犬協会公認訓練士などの資格を持つ江口タミ子・同NPO代表(72)と空き地にやって来て、箱や物陰に隠れた人や土に埋めた目標物を探し出す訓練を続ける。
ジーク君は昨秋、首が締まりそうな小さな首輪をつけて静岡をうろついていた。1月4日に殺処分の予定だったが、地元の保護団体を通じて江口さんのところに来た。体重12キロで骨が見えるほどやせていた。江口さんがエサを多めに食べさせ体をつくりつつ、訓練を始めた。
ジーク君は鳥やチョウに気を取られて落ち着きがなく、ようやく名前を呼ばれると走ってくるようになった。救助犬への道のりは遠いが、江口さんは「誰に触られてもじっとしている。人間が大好きで、以前はかわいがられていたのかも」と感じる。訓練しつつ、新しい飼い主探しを続ける。
ニコちゃんは雑種。一昨年夏、愛犬を失った久喜市の会社員山田義人さん(59)がシェルターから引き取った。人を怖がり、散歩も難しかった。今もほえることが出来ない。「怖い思いをしたのかも。でも前の愛犬のように、みんなにかわいがられ人の役に立てれば」と救助犬の認定試験合格と災害時の捜索出動を目指す。
江口さんは「ニコちゃんは声は出ないが、やる気が高い。人を見つけるとしぐさで教えてくれ、素質がある」。訓練は無理にほえさせず、楽しさや自主性を育てることを重視する。週末ごとに訓練を受け、山田さんは「顔が良くなった。苦手だった犬同士の関係にも慣れたようだ」と話す。
同協会では、同じ野良犬だった先輩犬が西日本の豪雨災害で広島に派遣された。江口さんは「人に一度見放された犬なので心のケアに気をつけつつ、100頭いれば100通りの方法で、災害救助犬を育てて行きたい」と話している。
(小笠原一樹)
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