殺処分まぬがれた2匹、災害救助犬に! 試験を突破
殺処分の可能性もあった2匹の雑種犬が18日、徳島県の災害救助犬に認定された。2年前に始まった県のプロジェクトで資質が認められ、訓練を経て最終試験を突破。2匹は南海トラフ巨大地震などの災害時に、助けを待つ人たちを捜す役割を担う。
県が認定したのは、いずれもオスの「玄(げん)」(推定2歳3カ月)と「モナカ」(同2歳1カ月)。
県動物愛護管理センター(同県神山町)は2014年8月の広島土砂災害などで、殺処分間際に民間団体に引き取られた「夢之丞(ゆめ・の・すけ)」が災害救助犬として活躍したことを知り、15年4月、センターに保護された犬から災害救助犬を育てるプロジェクトを始めた。
その年に飼い主不明の状態で保護された玄とモナカは、人との協調性や好奇心の強さ、嗅覚(きゅう・かく)の鋭さなど適性があった。基礎訓練をしたうえで、救助犬の飼い主を公募し、譲渡。その後、2匹は身動きできない人のにおいをかぎ分けたり、発見したらほえて知らせたりする訓練を同県板野町の民間施設「ノイマン・ドッグ・スクール」で受けた。費用には企業からの寄付やふるさと納税があてられた。
今年3月、約180匹の災害救助犬がいる民間団体「ジャパンケネルクラブ」の基準に準じた最終試験に合格。県の審査要領に基づき、救助犬に認定した。2匹は今後も訓練を続け、災害時に県の要請を受けて飼い主と共に被災地で捜索活動をする。いずれは県外への派遣も検討されているという。
センターによると、災害救助犬の大半は民間団体が認定している。20年前に個人が養成した犬を災害救助犬に認定する制度を設けた石川県によると、都道府県が養成から認定まで手がける例は聞いたことがないという。
18日午前、2匹は県庁での認定証交付式に臨んだ。
玄の飼い主の北浦恭男さん(74)=同県三好市=の娘で、補助者として一緒に訓練を受けた看護師の奈苗さん(44)は「玄は優しい犬で、訓練をよくがんばってきたので、認定はとてもうれしい。要請があれば災害現場に父か私が一緒に出向き、一人でも多くの命を救いたい。私は職場で、そんなこともあると伝え、理解はいただいている」と語った。モナカの飼い主の岡本沙南(さ・な)さん(20)=同県上板町=は「好奇心が旺盛な性格を発揮して活躍してほしい」と話した。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。