そんなことに力を注ぐなんて… 猫が多義語の使い方を解説
ぽっちゃり猫の「ぐっぴー」が身体を張って、ちょっと使い方の難しい言葉をゆる~く、おもしろく解説する「ぐ辞苑(ぐじえん)」。一つの単語でたくさん意味がある「多義語」。わかっているつもりでも、使う場面や使い方に迷うことがよくあります。そんな「多義語」の用例を「ぐっぴー」が写真入りで説明します。
第3回は「ちから(力)」です。
(多義語の意味は、岩波書店『広辞苑(第七版)』によるものです)
意味その1:自らの体や他の物を動かし得る、筋肉の働き。
用例:「全身から力を出して“悪”と戦う。」
【解説】 掃除機。それはぐっぴーにとって、平穏な生活を脅かす、最大悪の存在である。普段は深い眠りについているその最大悪は、週に1〜2度大きな音を鳴らして目を覚ます。
ぐっぴーは、一家の大黒柱として、この最大悪を退治し、我が家の平和を守るため、悪が目覚めるたびに立ち上がり、全身の血や(筋)肉をたぎらせ、勇敢に戦うのだ。
この写真はまさにぐっぴーが悪に立ち向かう姿をとらえたものである。
なお、487戦中487敗である。
意味その2:気力。精神力。根気。
用例:「爪とぎの上から落ちるまいと力を奮い起こす。」
【解説】 かれこれ数年間愛用している、ゆるやかな凹部を特徴とする爪とぎ。一つでは小さいので、ぐっぴーはこの爪とぎを二つ使用しているが、爪とぎと爪とぎの間に生じた溝に落下するという事件がしばしば起きる。
ぐっぴーはお気に入りの爪とぎを抱きしめるかのように、根気よく、何度落下してもよじ登り、落下しそうなときはしがみつき、力いっぱい、爪とぎに昇るのだ。漢(おとこ)である。
なお、こちらが力の限り頑張っているぐっぴーの表情であるが、片足は地面についていることは言うまでもない。
意味その3:ほねおり。労力。努力。
用例:「力を尽くして、箱に身体をねじこむ。」
【解説】ぐっぴーは、少しよたったくらいの雑な箱が大好きだ。しかし、今回は少し様子が違う。そう、箱が小さすぎるのである。
身体を曲げて入ろうと努力した形跡はみられるが、最終的には、しっぽと尻、すなわち身体の1/5程度が箱の外にはみ出した状態で落ち着いてしまった様子である。
なお、上からみると、箱の左部分は空いていることが確認でき、ここに頭を入れれば納まるではないか、と推測したが、早くこの箱を捨てたい飼い主は黙っていたことを申し添えておく。
用例:「飼い主の力を借りて、寝ながら遊ぼうとする。」
【解説】爪とぎに準じお気に入りのベッドには、ぐっぴーを起き上がらせない魔力が存在するようで、ここにくると寝ながら遊ぼうとする傾向がある。
しかし今回は、お気に入りのおもちゃにあと少し手が届かない(短い)。そこで、寂しそうな顔をすることで、飼い主がこのおもちゃをもっと自分に近づけてくれることを期待しているのである。
自らの労力を最小限にし、他人の労力を最大限に活用する。狡猾と言わざるを得ない。
意味その4:たよりとするもの。よりどころ。
用例:「ぐっぴーの存在は飼い主の力になる。」
【解説】飼い主は、ぐっぴーのごはん代を稼ぎ、家を維持し、身の回りの世話をしている。一見、飼い主がぐっぴーを支えているようであるが、実はぐっぴーが飼い主を支えているのだ。
仕事をするのも、家事をするのも、ぐっぴーがいるから頑張れる。つらいことも、悲しいことも、ぐっぴーの顔を眺め、触れると、忘れてしまう。ぐっぴーは飼い主の生きる力なのである。
意味その5:しるし。ききめ。おかげ。効能。
用例:「美顔器の力でもちふわ肌(毛)だ。」
【解説】ぐっぴーはストリート出身(元野良)にしては、毛艶が良い。美貌維持の秘訣は、週1回のペースで行う美顔器の「ハリ・弾力」コースでの毛ア(ケア)である。男子でも、という次元ではなく、猫でも、毛を遣う(気を遣う)時代になった。時代の流れであろう。
- ぐっぴー
- 2012年冬、瀕死の状態のところをさきに保護される。その後すくすくと成長し、穏やかで優しい大きめの好青年に。誕生日は推定11月2日。5歳。オス。好きなものは履きつぶされた夏のスニーカー。 instagram @gupitaro
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