猫の路上死、大分市で2268件 殺処分を上回る 交通事故など

譲渡会向けに「飼い主」となる人を待つ猫たち=大分市
譲渡会向けに「飼い主」となる人を待つ猫たち=大分市

 愛らしい猫の写真集やテレビ番組があふれる猫ブームの陰で、人知れず命を落とす野良猫たちがいる。動物愛護の考えが浸透し、県内で保護されて殺処分される猫の数は減る一方で、主に路上で死んで一般ごみとして回収される猫の数は、大分市だけでも年間2千匹以上にのぼる。県は「1匹でも不幸な動物たちを減らしてほしい」と呼びかけている。

「猫が道路で死んでいます」。大分市内の清掃業者には多い日には数件、そんな電話がかかってくる。中にはタヌキやイタチといった野生動物もいるが、多くが車にひかれた猫だ。猫の出産期の春と秋に特に増え、路上だけでなく住宅の庭や物置内でも見つかる。車にひかれた後に移動して力尽きたとみられる猫もいるという。

 動物たちは、生きていれば保健所の職員が回収するが、死亡している場合は一般廃棄物として市の委託業者が回収する。業者は「病死よりも、けがをして死ぬケースが圧倒的に多い」と話す。

 市清掃業務課によると、昨年度に市内で回収された動物の死体は3448件(匹)。16年度が3642件、15年度が3853件、14年度が3756件、13年度が4015件と減少傾向にあるが、毎年度3千件を超える状況が続いている。

 昨年度は6割以上の2268件が猫で、次いで犬が276件だった。全体のうち632件は飼い主がいたが、2816件は野良猫や野良犬、野生動物だった。

 県食品・生活衛生課によると、猫が多い理由は、犬よりも管理が難しく、1回に生まれる数も多いためという。猫は年に数回出産期を迎え、1回に数匹~10匹程度を産む。産後半年~1年で出産可能となるため、増え方が早いという。

猫の殺処分は全県で1764匹

 野良猫は殺処分されるケースも多い。県動物管理所では昨年度、県内で集められた猫1764匹と犬240匹が殺処分された。猫の6割近くは生後90日以内の子猫だった。ただ、動物愛護団体による譲渡会など地道な取り組みで、殺処分数は減少傾向にあるという。

 大分市や別府市には、殺処分される野良猫を減らすため、飼い主のいない猫の去勢や避妊の手術代を助成する制度もある。県の担当者は「可愛くてもエサをやることで野良猫は増えてしまう」と指摘。「猫は室内で飼い、むやみに増えないように去勢や避妊手術を受けさせてほしい」と話している。

(平塚学)

朝日新聞
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