アイドルにあやかり、猫にセカンドネーム すると関係に変化が
子猫時代にわが家にやって来た保護猫「はっぴー」も間もなく1歳。腕白ぶりに手を焼くこともあるけれど、のびのびと成長してくれた。ある日、ひらめいて、はっぴーに“セカンドネーム”をつけた。以来、私との関係、私の気持ちに、ちょっとした変化が生じた。
「はっぴー、またやってるの?」
「こらーっ、そんなことしちゃダメ!」
成長するにつれ、はっぴーのヤンチャぶりが増し、前にはしなかったこともするようになった。
棚の上から私のお腹に飛び降りたり、タッパーの蓋を噛んで穴だらけにしたり、網戸に体当たりしたり。目をきょろきょろさせて、面白いことはないかなと常に探し回っている感じだ。楽しそうだけど、こちらはオロオロ、時々イラ~ッ。甘えん坊ぶりは相変わらずで、このごろは自分の指のほか、私の耳をずーっと舐めようとする。
「オス猫ってそんなもの。いたずらで、単純で、しつこいよ」と知り合いの獣医さんはいう。これまで私はメス猫しか飼ったことがなかったので、驚くことが多いのだ。
はっぴーは、先住猫の「イヌオ」(メス)に対して威張るようにもなってきた。イヌオがベッドで日向ぼっこをしていると、力尽くでエイっと、どかす。さらにイヌオの足を後ろからガブッ。
「こらーっ。意地悪な男ー!」
イタズラして、イジワルして、はっぴーは私に怒られてばかり。それでもケロッとして悪びれず、同じことを繰り返す。だが、ある時、「はっぴー!」と声をあげた途端、“母ちゃん、こえ~”とでも言いたげな目をして、廊下にすごすごと逃げていった。
イタズラをやめるのはいいけど、逃げられるのは私にとってはショックだった。考えてみると、「はっぴー=こらーっ」と怒ることがセットになっていた。名前を呼ばれることが、彼にとって、恐怖になってしまったのではないか……。
そんなある日、あるジャニーズ系アイドルに、年甲斐もなく、私は心引かれた。ヤンチャそうだけど、カッコイイ。しかも慶応ボーイ。ドラマで見て以来、気になる存在。下の名前が「風磨」で、あだ名は「ふまたん」。テレビで見るたびにドキドキしていたら、ある時、はっぴーがテレビ台に飛び乗って、画面に張り付き彼をガン見した。
「そうだ、はっぴーにセカンドネームを付けよう! 『ふまたん』にしよう!」
はっぴーもまんざらでもなさそうだ。「ふまたん」と声をかけると、耳を動かしてポーズを決める。こうしてアイドルのあだ名を拝借し、動物病院のカルテにも、はっぴー(ふうま)と補足してもらった。
「どうして、この名前に?」と看護士さんに尋ねられたので、「SexyZone(セクシーゾーン)が好きで」と答えると、「ああ、娘さんが」と納得された(娘はいないのだけど……)。
その後、ちょっと良いことが起きた。
イタズラした時に、「はっぴー」と呼ぶところを「ふまたーん」と呼んでみると、なんだか和んでしまうのだ。私のトゲトゲした気分はどこへやら……恐るべし効果!?
他の飼い主さんたちは猫の名前はどうやって付けるのだろう。保護猫の場合、保護主が一時的に名前を付けることが多い。引き取った飼い主が、そのまま名前を引き継ぐこともあれば、変えることもある。
はっぴーと一緒に魚屋の天井から落ちてきた4きょうだいには、四葉のクローバーの名が付けられていた。ほかの3匹はみんな新しい家ですぐに違う名前をもらっていた。メスの「あいちゃん(愛)」は「エレナ」、「のぞみん(希望)」は「ソフィ」、そしてオスの「まこちゃん(誠実)」は「はやて」になったそうだ。
ともに幸福になりたい、私はそんな思いで、保護主が付けてくれた「はっぴー」の名を引き継いだが、理想の男子の名前をつけ足すことで、私の中で“最強の猫”になった。手に乗るほど小さかった体も、今は5キロを超えている。
「成長とともにもっと落ち着くはず。それにイケメンになってきたと思うよ」
ジャニーズ好きの猫友達に言われて思わずにんまり。私もすっかり親バカだ。
年をとっていくイヌオに優しくできる、“心の大きな”いい男になってよね、「はっぴー・ふまたん」!
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