保護猫「水丸さん」 みごとな切り替え力でわが家になじむ
モデルの松田珠希さんが譲り受けた猫「水丸さん」。一つの別れを乗り越えて、家族になった。
ドラッグストアの駐車場で保護猫の「水丸さん」を受け取ったあと、なるべく急いで家に帰り、バッグを開けた。自分から出てくるのを待ってみたが、うずくまって全然出てこない……。
興奮で我を忘れた水丸さんに、指を食いちぎられる、という無駄におそろしい妄想をしながら、おそるおそる水丸さんの脇を抱えてバッグから出した。が、全くの無抵抗。へっぴり腰のまま、ベッドの下に隠れてしまった。
一瞬だったが、見ることのできたその姿は、バッグのサイズからは想像できないくらい大きかった。
「最初の篭城は覚悟せよ」と何かで読んでいたので、私はのぞき見たい気持ちをグッとこらえて、トイレとお水とご飯をそばに置いて、その日は寝ることにした。
まるで彼氏を初めて家に連れて来た女の子のように、またもや部屋のテイストが心配になりながら。
長いと1週間飲まず食わずで顔を出さない猫もいると聞いていたが、水丸さんが気持ちの整理に要した日数はたったの2日。
夜、出てきたと思ったら、ベッドの上で本を読んでいた私のそばに近づいてきて、おなかの上に乗り、そのまま座ってしまった。
真正面から黒々とした目で直視され、うれし恥ずかし初対面。なんだか私のほうがモジモジしてしまった。
同時に、水丸さんが9年も暮らしたという以前の飼い主さんや、自分の子供との突然の別れを想像して、ものすごく切ない気持ちにもなった。
あの日、みずからバッグに入ったという水丸さん。覚悟なのか、あきらめなのか、何を思っていたんだろう。
切り替えの早い水丸さんはその後、ご飯をよく食べ、お水もゴクゴク飲み、そばにピタッと寄ってよく眠り、なでると大きな音でゴロゴロと喉を鳴らしてくれた。
あれから2年半。正直大変なこともあるし、水丸さんは結局、病気にもなってしまったけど、言葉の通じない彼女と向き合うことが自分をどれだけ成長させ、いやしてくれているだろう。本当に彼女が来てくれて良かったと、毎日思う。
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