犬も笑うの? 笑顔のようなその表情から、犬の気持ちが読み取れる!
人間同士は、言葉でコミュニケーションをとっています。しかし、言葉が通じない外国の方と一切コミュニケーションができないわけではありません。にっこり笑えば、相手に敵意がないことを伝えられますし、泣いている人がいれば、たとえ言葉がわからなくても、慰めてあげたいと感じるものでしょう。それは犬も一緒で、気持ちを顔に出しているのです。犬の表情と気持ちの関係を知ることで、愛犬とのコミュニケーションに活かしてください。
犬にも表情がある
人間の表情は、「表情筋」によって生まれるものです。表情筋を操ることによって、目や口が動き、「笑顔」や「怒った顔」などの表情が作られます。
この表情筋は、同じ哺乳類である犬にも存在しています。実際に犬は、口や目を自由に動かし、人間と同じように、感情によって「表情」を変化させているのです。
犬の笑顔はどんな表情?
人間にとって、笑顔というのは「唇の両端が上がって弧を描いている状態」や、「唇の端を上げて歯を見せている状態」を指します。
しかし、犬の笑いは厳密にいうと「唇の両端を上げる」という行動ではありません。犬が笑っているときの顔の動きと、その理由には次のようなものがあります。
・口を軽く開けている
犬が軽く口を開いているときは、リラックスしている状態です。このときの口元の様子が、犬の「笑っている」表情になります。反対に、不安やストレスを感じると唇を引き結ぶ傾向がありますので、そのときは注意が必要です。また、口を開いていても、あえいでいるようなときは、強い不安やストレスを感じている状態で、笑っているとはいえません。
・下の犬歯を見せる
犬の犬歯は、上と下、両方にあります。このうち、下の犬歯が目立つときは、「犬がリラックスしているとき」です。上記の「口を軽く開けている」ときもそうですが、さらに力を抜いているとき、犬は下の犬歯が目立つ口の開き方をします。下の犬歯が目立つのもまた、犬の「笑顔」になります。
・フレーメン反応に似た表情
馬は、上唇をめくりあげて笑うような表情をすることがあります。これは、フェロモンを感じたときに起こる「フレーメン反応」と呼ばれる反応です。
犬も、時折このような反応を見せることがあります。個体差があり、しない犬のほうが多いものの、飼い主が帰ってきたときに似た表情を見せる犬がいます。この表情も「犬の笑顔」の一つと言ってもいいでしょう。
攻撃的なときの顔は?
犬にとっての「警告」や「恐れ」の表情は、鼻の上にシワを寄せて上の犬歯をむき出しにするものです。しかし、よく観察していると、犬がこのような表情をとるまえに、相手をにらんだり、軽くうなり声を上げたりするのに気付くはずです。
犬が犬歯をむき出しにするのは、「それ以上やったら噛みつくよ」という警告です。しかし、相手に噛みついて戦うというのは、犬にとってもリスクのある行動で、「できればしたくない」と思っているのです。そこで、まずはにらみつけたり、うなり声を上げたりして、相手に警告をします。犬歯をむき出しにするというのは、その警告の最終段階だといえるでしょう。
こういうときは、犬が犬歯を使わずに済むよう、迅速に犬のストレスとなっている原因を排除してください。
ヒゲからも表情の変化がわかる!
口の周りの表情筋が緊張すると、犬のヒゲもいつもとは違う角度に変化します。口そのものの動きよりも、ヒゲの動きのほうが早く起こったり、判別がしやすかったりする犬もいますから、気をつけて見てみましょう。ひょっとすると、犬の気持ちの変化にいち早く気づくヒントになるかもしれません。
定期的にトリミングをしている犬の場合、ヒゲを切られてしまうこともあります。確かに、犬にとってのヒゲは、「なくてはならない物」というわけではありませんが、人間にとっては、犬の気持ちを判断する一助になる物なのです。
【前の回】犬の気持ちは尻尾に表れる 尻尾の振り方で意味が違う!?
【次の回】犬が顔を背ける!? 目をそらすときの気持ちは?
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