猫が奪い合う最強オモチャ 手作り“猫けりけり”の正体は
幼かった猫「はっぴー」(オス)も生後10か月になり、力が強くなってきた。身体の大きい先住猫「イヌオ」(メス)と、ごはんを食べる時や遊ぶ時、何かと張り合っている。そんな我が家の2匹に、オモチャのプレゼントが届いた。すると、2匹はオモチャに夢中になって奪い合いに。さて、勝負の行方は?
(末尾に写真特集があります)
先日、懇意にさせてもらっている小学生の猫ボランティア、渚美(なちゅら)ちゃんから、猫たちに手作りの素敵なオモチャをいただいた。その名も“猫けりけり”。
長辺20センチくらいの魚の形をしたぬいぐるみで、猫が抱きついたり足で蹴って遊ぶことができる。渚美ちゃんが、テレビ番組に出て、オモチャを紹介していたのを見て、作り方を聞こうと思って連絡したら、出来上がったものを送ってくれたのだ。
“猫けりけり”は、フェルト生地を縫い合わせて、中に綿と鈴とセロファンが入っている。表には「イヌオ」、ひっくり返すと裏に「ハッピー」とアップリケまで付いていた。愛情たっぷりのお手製だ。
「世界にひとつだけのオモチャだ」
思わず声をあげると、さっそく「はっぴー」が走り寄ってきた。目を輝かせ、鼻を近づけてクンクン匂いを嗅ぐ。
とすぐに、オモチャを奪いとって、寝転がり、後ろ足で蹴り始めた。
そうしているうちに、「イヌオ」が、そろそろと近づいてきた。年のせいか動作はゆっくりだが、興味ありげで、いつになく目がキラリ。“ちょっと貸して”とでも言うように、“猫けりけり”に前足をかけた。すると、「はっぴー」があわてて、“猫けりけり”を抱きかかえて鳴いた。
ミャーッ(ダメ、俺が見つけだんだから)
ニャン、ニャン(私のよ。名前が書いてあるでしょ)
ミャーミャーッ(俺の名前だって書いてあるぞ)
2匹ともかなり気にいった様子で、引っ張り合いになった。
これまでオモチャは2匹分おそろいいで買うことが多かったので、取り合いにもならなかったが、“猫けりけり”は2匹で一つ。でも「仲良く遊びなさいね」といっても、聞き入れてはくれない。
ミャオーミャオー(俺の、俺のー)
ニャーッシャーッ(黙れ、ちびー)
しばらくすると、「イヌオ」がオモチャをぱっと離した。勝負あった?
いや、よく見ると、オモチャの魚のお腹のあたりに穴が開いて、中から綿がモシャっと出てきていた。夢中なあまり、「はっぴー」が布を食い破ってしまったのだ。そのまま綿をほじくりだそうとするので、「ハイ、休憩」と、いったんレフリーストップした。
猫がこんなに夢中になるなんて、市販のオモチャでもそうそうない。
渚美ちゃんの家に連絡して、猫達がどんなに夢中になっているかを伝えると、笑いながらこんな言葉が戻った。
「あのね、中に入れるマタタビを大量サービスしておきましたー(笑)」
なるほど!
穴を修理した後も、「はっぴー」は“猫けりけり”に目がなく、興奮して、蹴り続けた。その迫力に「イヌオ」は敗けた、というよりも、ほとほと参った感じ。「貸してやるわよ」と、お姉さんらしく譲ってあげたのだろう。
若い「はっぴー」はとにかく好奇心旺盛で、力も強い。でも「イヌオ」にも昔はそんな時があった。
栃木県の山に捨てられ保護された「イヌオ」は幼い頃は気性が激しく、女の子とは思えない迫力でオモチャも壊しまくった。釣竿のような長い柄の猫じゃらしで遊ぶと、かじったまま離さないので、持ち上げると、魚が釣れるようにイヌオが宙に浮いた。それでも猫じゃらしを口から離そうとせず、心配になったものだ。
こんな迫力のある“犬のような猫”、私に育てられるだろうか……。
でも、時とともに「イヌオ」の性格や行動はマイルドに変わった。いつのまにか、おとなになったのだ。
「はっぴー」のやんちゃさも、やがて変わっていくだろう。好奇心旺盛なうちは、うんと遊ばせよう。
チーズ型爪とぎ、猫タワー、猫じゃらし、まきびし、大きなものから小さなものまで買い集め、室内は猫のオモチャだらけだ。でも、いちばんのお気に入りは、やっぱり“猫けりけり”。
好き過ぎて、もうボロボロだ。だから、渚美ちゃんに教わって、自分でも作ろうと思っている。「はっぴー」と「イヌオ」それぞれに。喧嘩にならないように、マタタビも均等に入れて。

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