愛妻を失った17歳のダックスフント 元気の秘訣は家族との旅
「老犬」と一口に言っても犬それぞれ。「ご長寿犬」と暮らす家族を訪ね、老化の悩みや元気の秘訣をうかがいました。
(末尾に写真特集があります)
神奈川県で暮らすミニチュアダックスフントのパズーは2000年生まれ、現在17歳の男の子。
生後半年がすぎてペットショップで売れ残っていたとき、天門原動さん(自営業・52歳)と出会った。
「運命なんて特に感じなかったけど、気弱そうな様子がなんともいえずかわいくて。『うちに来るか?』って」
賢く、おとなしく、でもビビり。6年前、天門さんの妻になったゆみさん(52歳)に初めて会ったときは、「誰だ!」とほえまくったが、今ではべったりのママっ子に。ゆみさんに抱っこされるのが至福のときだ。
◆お嫁さん犬との別れは突然に
天門さんちの子になって1年後、お嫁さんがやってきた。同じくミニチュアダックスフントの「シータ」は、おとなしいパズーとは違い、やんちゃで天真らんまん。「パズくんが遊んでいるおもちゃを横取りし、遊び過ぎてすぐに破壊してました(笑)」(ゆみさん)。2匹の間には全部で6匹の子どもも生まれた。知り合いの家などにもらわれ、幸せに暮らしている。
いつも元気なシータが体調を崩したのは、12歳のとき。様子見で動物病院に入院したが、急変し、パズーの前から去ってしまった。死因は不明だった。
「パズーはシーちゃんの亡き骸のにおいをかぎ、不思議な顔をしていました」(天門さん)。最愛の妻との突然の別れ。パズーはシータが火葬された後も、ずっとシータの姿を探していたという。明るいシータの死は「家の中の火が消えてしまったようでした」と、ゆみさんは振り返る。
少しずつ妻の死を受け入れ、落ち着いていったパズー。一人っ子になって、より甘えん坊になったようだ。
◆老犬ならではの悩み 「お散歩に行けない」
病気らしい病気をしたことのない健康優良児。だが、妻の死からしばらくすると「老化」が始まった。2年ほど前からは目が見えづらくなり、あちこちにぶつかるように。今はほとんど見えず、外に出ると固まってしまうため、お散歩に行けなくなった。最近は耳も遠くなってきているようだ。
足腰も弱ってきた。ふんばれないため、ウンチができず苦しそうなことも。「腰を支えて肛門のところを刺激し、出してあげます」と天門さん。
歯磨きをしていないため歯周病が進行。口臭がきつくなっている。「子犬のころから、ハミガキが楽しいって教えてあげればよかったんだけど……」と天門さんは少し後悔しているようす。
抜けてしまった歯も多く、噛むことが難しいので、食事はレトルトタイプのウェットフードを。「食欲は旺盛。それが健康の秘訣かもしれないですね」(天門さん)
大好物は「栗」。「『栗』って言うと、耳が遠くなった今もパッと振り向くんですよ」とゆみさんは笑う。昨秋も蒸した栗を堪能。口の周りや鼻まで栗まみれになりながら秋の味覚を楽しんだ。
「食物繊維がお腹にもいいみたいで、立派なウンチが出ました」と天門さんもうれしそう。
◆旅で老犬の表情もよみがえる
シータがいたころから家族旅行が恒例で、昨年は犬友の家族と伊豆へ行った。離れると不安がるので、一緒の布団で寝られる宿を探した。「きれいな空気の中、パズーの表情もいつもよりイキイキ。健康だけでなく若さを保つ秘訣かも」と天門さん。
「今年も来年も、その先も、家族一緒に旅に出かけることが目標です」
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