「いらなくなったらポイ」  公共広告学生賞グランプリ

三枝さんがデザインした「野良猫クレーン」=ACジャパン提供
三枝さんがデザインした「野良猫クレーン」=ACジャパン提供

 大学生らによる公共広告の優秀作を決める「第13回ACジャパン広告学生賞」。その「新聞広告部門」のグランプリに、京都造形芸術大4年の三枝(さえぐさ)瑞季さん(22)の作品が選ばれた。テーマは動物虐待。三枝さんは「広告を見た人に、ペットを飼うことの責任について考えてもらいたい」と話している。


 新聞広告部門は今回初めて設けられ、全国の大学生や大学院生、専門学校生から168点の応募があった。最優秀のグランプリを獲得した三枝さんの作品のタイトルは「野良猫クレーン」。飼い主のいない動物が集められた場所に、新たに野良猫が運ばれてきた場面を描いた。


「動物はただ可愛いだけの都合の良い道具ではありません」「飼う前にもう一度、しっかり考えて」。そんなメッセージが、見た人の心に訴えかける。7月から、新聞各紙に全面広告として掲載され始めた。

 

「広告を見た人に動物虐待について考えてほしい」と語る三枝さん=左京区
「広告を見た人に動物虐待について考えてほしい」と語る三枝さん=左京区

 動物が好きで、今はハリネズミを飼っているという。飼い主の都合で多くのペットが捨てられている現状に、以前から憤りを覚えていた。ゼミの先生から学生賞への応募を勧められた時、すぐに「動物虐待」をテーマにすることを思いついた。「ペットを飼っている人は大切にして。今から飼おうか考えている人は、最後まで責任をもって飼えるか考えて」。そんな思いを込めて描いたという。


 キャラクターデザイン学科に所属する。2年生の時には、SLをかわいらしくデザインした「えすまる」が、京都鉄道博物館(下京区)の公式サブキャラクターに選ばれた実績がある。


 今回は、重いテーマでも多くの人の目に留まるよう、親しみやすいイラストを用いた。この点が、「イラストの軽さが逆に怖く感じられて良い」などと高く評価された。


 三枝さんは「この広告を見て、共感する人だけでなく、批判する人もいるかもしれない。どちらであっても、ペットの飼い方について考えてもらいたい」と話している。


(本多由佳)


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朝日新聞
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