「ペット可」と「ペット相談可」の違いは? 賃貸住宅の基礎知識

室内飼いの柴犬
室内飼いの柴犬


「ペットと暮らせる賃貸物件は、まだまだ絶対数は少ないものの、確実に増えている印象があります」


 こう話すのは、ペット可物件を豊富に取り扱うペット賃貸カンパニーの込山哲寛代表です。


 マイホームを持っていない人にとって、ペットと暮らすには、それが許可されている部屋に住んでいることが大前提です。借りているアパートやマンションがペットを認めていないのであれば、引っ越しを検討する必要があります。


 ペットと暮らせる賃貸物件は、大きく分けて以下の3種類あります。

 

 

1、ペット共生型物件

 もともとペットと飼い主の入居を前提に建築された物件で、犬や猫と快適に暮らすための設備が整っているのが特徴です。


 設備は物件にもよりますが、引っかきに強い壁紙や床材を使っていたり、共用部分に足洗い場があったり、屋上にドッグランがあったり、室内にくぐり戸やトイレ置き場が用意されていたりと、愛犬家や愛猫家にうれしい仕様になっています。猫を放しても逃げないように、バルコニーに柵を高くしているような物件もあるそうです。


「賃料相場は一般の物件よりも高く、近隣の相場が8万円程度の部屋なら、5000〜1万円ほど上乗せされている印象があります」(込山さん)

 

屋上に設けられたドッグラン(提供:ペット賃貸カンパニー)
屋上に設けられたドッグラン(提供:ペット賃貸カンパニー)

2、ペット可物件

 一般の物件を途中から「ペット可」に条件を緩めたケース。特にペットを意識してつくられた建物ではないので、専用の設備はありません。


 築年数が経過したり、近隣に新築物件が増えたりして物件の魅力が落ちてきたのを機に、家主が入居条件を緩和するケースが多いようです。ペットだけでなく、制限していた外国人の入居や楽器演奏も同様に許可されることもあるとか。


 そもそもペットを飼うと、壁や床に傷がつくなど、部屋が痛みやすいので、家主側からは歓迎はされにくいものです。受け入れはしても、現状回復にかかる費用は入居者にある程度負担してもらいたいという思いはあるようです。


「ペットを飼う人には家賃を数千円上乗せすることもあれば、本来家賃を下げなければ入居者を集められないような場合に『ペット可』にすることで現状維持するケースもみられます。いずれにせよ、礼金敷金は高く設定することが多く、1〜2か月分プラスしたり、退去時の敷金の返却はなしと定める大家さんが多いです」


 こうした物件の場合、ペットを飼っていない人も多く入居していることに注意する必要があります。ペット専用の物件に比べると、鳴き声や足音などでトラブルになる可能性が高くなる傾向にあります。

 

 

3、ペット相談物件

「ペット可」とまではうたっておらず、ペットを希望する人は相談してください、と表示している物件のことです。家主はペット入居の諾否について、個別に判断することになります。


「本当にペットを受け入れていいのか迷っている大家さんがこうした表示をすることが多いです。ペットの種類や入居希望者の属性などを総合的に判断することになります」


「ペット可」物件は、猫と小型犬はOKとしているところが多いのに対し、相談可の物件では猫をNGとするケースも比較的多く見られるそうです。猫は犬よりも壁を引っ掻いて傷めることが多い上、その行動範囲が高いところまで及ぶので傷む範囲も広くなるからだといいます。


 ペット可物件と同様、飼い主ではない人が多く入居している点にも注意する必要があるでしょう。

森田悦子
フリーランス記者、ファイナンシャルプランナー。金沢大学法学部卒。地方新聞社会部記者、編集プロダクションを経て独立。得意テーマは経済、金融、投資、社会保障、ペットなど。「AERA」「週刊朝日」などで執筆中。どちらかというとネコ派。

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この連載について
ペットの住宅事情
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