無理やり口をこじ開けるのはNG! 子猫のうちに投薬練習を
「こねこ塾」では猫に薬を与える方法も勉強してもらいます。犬は好物に薬を詰め込んだり、フードに混ぜたりして比較的簡単に投薬できます。しかし猫は警戒心が強く、このような食べ物はなかなか口にしてくれません。
だからと言って無理やり口をこじ開けて苦い味のする薬を飲ませると、猫は飼い主さえも警戒し、避けるようになってしまうことがあります。そして病院でもらった薬を飲ませることができないばかりか猫と飼い主さんの関係まで悪くなってしまうという残念な結果となってしまいます。
猫に薬を飲む理由を言って聞かせるわけにはいきません。いきなり頭を押さえつけたり、タオルでぐるぐる巻きにされたり、口の中に嫌な味のするものを入れられたら、飼い主に不信感を持つことはあっても、自分のためにしてくれていると理解することはありません。やさしかった飼い主さんが突然自分の敵になってしまったと感じると、猫も家で安心してくつろげなくなってしまうでしょう。
これを予防するために、子猫のうちから投薬練習をすることはとても有効です。すでに成猫になっている場合でも時間をかけて根気よく取り組めば、慣らすことは可能です。以下にこねこ塾でお伝えしている投薬練習の方法を書きますので、参考にしてください。
① 空腹時にドライフードを使って練習します。幼猫用のフードなど粒が小さく丸い形のものがやりやすいと思います。まずは手からフードを与え、飼い主の手にはおいしいものが入っていると教えましょう。
② 空腹時にドライフードを人さし指と親指でつまんで猫の口元に差し出すと食べようと口を開けるので、すかさず口の中に入れる練習をします。この際、同時に猫の頭の上にもう一方の手のひらを乗せる練習をします。
③ ②の方法で猫がフードを食べることができたら、猫の頭の上に置いた手で猫の鼻先を上向きにしてのどをまっすぐに伸ばします。すると口が半開きの状態になります。反対側の手には親指と人差し指でフードを持ち、中指で猫の下あごをやさしく開いて舌の上にフードをのせます。猫は少し驚くかもしれませんが、口に入れられたのは薬ではなくフードなので、自ら食べるようになります。失敗して口から出してしまったとしても、フードなので再び与える必要はありません。
④ 食事を与える際に、毎回、最初の1粒を上記の方法で口の中に入れます。口の中にフードを入れる際に、少しずつ舌の奥の方に入れるようにします。しつこく繰り返すと猫は嫌がるので空腹時の食事前に1~2回練習する程度にしましょう。この練習が終わったら「おりこう」と褒めてすぐに残りの食事を与えるようにすれば猫は楽しい食事前の儀式としてこれを受け入れるようになります。
うまくフードを飲ませることができるようになったら、毎日練習する必要はありませんが、いざという時のために、定期的に練習をしておくことをお勧めします。
もし今すでに投薬の必要があるということであればまずは空腹時に少量の好物に混ぜて与えることから始めてみましょう。薬が入っている食べ物を食べてくれない場合はやはり強制投与をする必要があります。この場合も必ず好物は用意しておきましょう。薬を強制投与した後、シリンジなどで少量の水を与え、すぐに好物を与えます。こうしてできるだけ嫌な印象が残らないようにしてあげましょう。
すでに食欲もなく、投薬も嫌がるということであれば、投薬の必要性についてもう一度獣医師に相談してください。身体的な症状を改善する薬であっても、投薬が猫にとって極度のストレスになるようであれば、見直しが必要な場合もあります。
このように猫は薬を飲ませにくい動物ですが、元気な時から前述の練習を行うことによって驚くほど投薬を受け入れやすくなりますので、ぜひ将来のために練習してあげてください。
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