ペットと避難② 自治体では動物版「災害派遣医療チーム」も…

飼い主の会が仮設住宅団地で開いたマナー向上イベント。犬のウンチなどを拾って歩き、散歩の注意点の講座を受けた=14日、熊本県益城町のテクノ仮設団地
飼い主の会が仮設住宅団地で開いたマナー向上イベント。犬のウンチなどを拾って歩き、散歩の注意点の講座を受けた=14日、熊本県益城町のテクノ仮設団地

 ペットをめぐるマナーの大切さは日常でも災害後でも変わらない。飼う人には「家族」でも、苦手な人はいるからだ。過去の災害ではトラブルを避け、避難所に身を寄せなかった人、ペットとの生活をあきらめた人もいて、自治体などは、ペットも含めた災害時の対応について、取り組みを始めている。

 

 

■熊本市、トラブル受け専用場所

 昨年4月の熊本地震で大きな被害に遭った熊本県益城町に県内最大の仮設住宅団地がある。室内飼育を条件にペットを連れて住むことができる。


 今月14日朝、この団地の集会所前に犬を連れた人ら約30人が集まり、トイレや散歩の注意点の講座を受けた。ペットがいる住民でつくる飼い主の会が開いた。苦情などが増え、昨秋に始めて3回目になる。副代表の矢野いづみさん(50)は「家で飼っている時より気を付けないといけないことは多い」と話す。


 ペットがいる人といない人の折り合いをどうつけるかは、災害直後から続く課題だ。


 熊本市は地震から約10日後、ペットの同行避難についてホームページで注意を呼びかけ、動物が苦手な人、アレルギーがある人への配慮が必要だとして、「避難所の居住スペースには原則としてペットの持ち込みは禁止」と強調した。


 市は2013年にまとめた避難所の運営マニュアルで、ペットに関して「屋外部分に指定スペースを設ける」と定めていたが徹底されず、トラブルが発生。昨年5月に一部の避難所で、段ボールで区画を仕切った「ペット同伴専用スペース」を設けた。


 益城町の避難所でも苦情が相次ぎ、町やペットの支援団体などが同5月、プレハブのペット専用預かり施設を避難所敷地内に開設した。益城町で被災者とペットの支援をする九州保健福祉大の加藤謙介准教授(社会心理学)は「犬と猫だけで全国に約2千万匹が飼われていて、災害時の対応は地域の問題として考える必要がある」と話す。


 ペットと離れざるを得なかった人も。大分県九重町の「熊本地震ペット救援センター」は被災者のペット27匹を預かる。昨年6月に受け入れを始め、避難所が解消に向かう同10月末までを予定していたが、1年間延長した。熊本県獣医師会などでつくる熊本地震ペット救護本部の山本志穂さん(60)は「ペットの行き場がないとの相談は今もやまない。動物の復興もこれからなんです」と話した。


(大森浩志郎、平井良和、福井悠介)

 

熊本地震の被災地にペット用の支援物資を届ける福岡VMATの隊員ら=昨年4月、熊本県西原村、福岡県獣医師会提供
熊本地震の被災地にペット用の支援物資を届ける福岡VMATの隊員ら=昨年4月、熊本県西原村、福岡県獣医師会提供

■獣医らの支援チーム、発足次々

 東日本大震災や熊本地震を経て、同行避難を前提に、避難先でペット連れとそうでない被災者の共存をどう図るか官民で具体的な活動が進められている。


 災害直後の人命救助を担う災害派遣医療チーム「DMAT」。この動物版ともいえる「VMAT」が全国で広がり始めている。


 昨年4月18日、福岡VMATのメンバーが益城町の総合運動公園体育館を訪れた。福岡県獣医師会が2013年に設立。この日は被災状況を確認するため先遣隊として訪れ、避難所内を回ってペット同伴の避難者を見つけると声をかけて回った。地元の動物病院などが被災した場合に被災地の外から支援に入るのがVMATの役割だ。代表の獣医師船津敏弘さん(60)は「動物と飼い主のケア、避難所の衛生環境のためにも獣医師や動物看護師が現場に必要だ」と話す。


 VMATは福岡や大阪、群馬ですでに発足しているほか、北海道や東京、愛知などが来年度以降の立ち上げを目指しているという。


 南海トラフ地震の影響が想定される静岡県は、災害時にペットの救護や飼い主への対応にあたる災害時動物愛護ボランティアリーダーを育成している。また避難所でのペット収容スペースの確保も急ぐ。35市町のうち3月末時点で11市町が全ての避難所でペットの受け入れが可能となった。


 熊本地震の教訓から、避難所運営ガイドラインも作った。避難者とペットの通り道を分けた収容方法、飼い主同士が協力してペットの管理に責任を持つなどの内容だ。作成に協力したNPO「アナイス」(東京)の平井潤子理事長は「ペットのしつけやペット用品の備蓄など、ふだんからの飼い主の責任は重いことを知ってほしい」と呼びかける。


(四倉幹木、古庄暢、千種辰弥)

 

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