人気猫スコティッシュは「病気になりやすい」? 猫専門医が解説

ペットショップでも人気のスコティッシュフォールド。可愛いからこそ、健康に気を付けてあげたいもの 写真協力/ビークラブ猫店
ペットショップでも人気のスコティッシュフォールド。可愛いからこそ、健康に気を付けてあげたいもの 写真協力/ビークラブ猫店

 ぴょこんと折れた耳が特徴的で、丸みを帯びた顔や足、太めのしっぽも愛らしい猫「スコティッシュフォールド」。穏やかで人なつっこい性格から飼いやすくもあり、一般社団法人ペットフード協会の「平成27年全国犬猫飼育実態調査」によると、国内での飼育数はアメリカンショートヘアーに次ぐ2位。そんな人気の一方で、「病気にかかりやすい」「寿命が短い」といった指摘もある猫種でもある。飼い始めた後で不安にならないために、知っておくべきことはないか。猫の遺伝性疾患にくわしい、「東京猫医療センター」の服部幸院長に聞いた。


(末尾にフォトギャラリーがあります)



――スコティッシュフォールド(以下スコティッシュ)は病気にかかりやすい、というのは本当でしょうか?


服部院長 病弱というよりも、特定の遺伝性疾患にかかるリスクが高いというほうが正しいでしょう。スコティッシュがかかる病気の代表が「骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)」です。


 スコティッシュの特徴である折れ耳は、耳の軟骨が突然変異によって硬くなったものですが、骨軟骨異形成症では、耳だけではなく、本来クッションとして関節を保護する軟骨までが骨のように硬くなってしまいます。すると、四肢の関節、とくに足首が動かなくなったり、痛みが生じて歩くのをためらう様子が見られ、痛みの程度によっては歩行が困難になります。


 ほかにも、スコティッシュ特有ではありませんが、遺伝的に「肥大型心筋症」など内臓の病気にかかりやすい傾向も指摘されています。エキゾチックショートヘアや、その交配相手に選ばれてきたペルシャに多いとされる「嚢胞腎(のうほうじん)」も、スコティッシュに多いように感じています。



――では、スコティッシュが遺伝性疾患にかかる可能性は、どれくらい高いといえるのでしょうか?


服部院長 骨軟骨異形成症についていえば、折れ耳のスコティッシュは必ずかかるという報告がされていて、とくに折れ耳同士で交配してできた子に症状が強く現れる傾向があります。


 一方、耳が立っているスコティッシュもいますが、このタイプは遺伝的に骨軟骨異形成症にかからないか、発症しても症状は軽い傾向があるとされています。ただし、骨軟骨異形成症以外の遺伝性疾患を起こす可能性がないわけではありません。


 現在、折れ耳でも骨軟骨異形成症を起こさないようにできないかといった研究もされています。折れ耳を引き起こす遺伝子と病気を引き起こす遺伝子とが別々であったとすればこれが可能で、国内でも何人かの研究者が解明を試みています。



――その骨軟骨異形成症は、予防できないのでしょうか?


服部院長 現時点では、発症を防ぐことも、見つかった場合に進行を遅らせることも、残念ながらできません。飼い主さんができるのは、定期的な健康診断で四肢のレントゲン写真を撮ってもらうことで病気を早期発見し、発症したら激しい運動をさせない、室内の段差をなるべく減らすなどのケアをしながら、足にかかる負担を減らすことです。


 痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤を使用しながら病気と付き合っていくことになります。一部の病院で放射線治療が試みられていますが、この治療を行っても病気を完全に無くすことはできず、あくまでも痛みの緩和なのだと思います。



――ほかの純血種の猫とくらべたときに、スコティッシュは寿命が短い傾向があるのでしょうか?


服部院長 スコティッシュが、ほかの純血種よりも寿命が短いことを裏付ける論文や調査は、私が調べうる範囲では確認されていません。しかし、海外ではスコティッシュ・ホールドの登録を認めない血統登録団体や繁殖を推奨していない団体があります。私の感覚でも、日本でもキャットショーの世界では、一時にくらべてスコティッシュの数が減っているように思います。


 ただ、スコティッシュに遺伝性疾患が多いと認識されているのには、ほかの猫種に多い内臓疾患と違って、外見にわかりやすい症状が出ることも関係するのではないでしょうか。近年はなんとなくスコティッシュばかりが病弱といわれる兆候がありますが、どの純血種であっても、血統を安定させるために血が濃くなってしまい、その過程の中で遺伝性疾患にかかる可能性があります。


 ここからは私の勝手な持論ですが、最近の日本人は少し変わった形を好む傾向にあるように感じます。犬ではチワワやフレンチブルドッグ、猫では足の短いマンチカンが人気ですね。どのような純血種を飼う場合でも、多くの病気を抱える可能性があることを知ってから、そして介護や通院の覚悟をもって飼い始めていただけたらと願います。そして病気が発症したとしても、今飼っているペットに罪はありませんので、生涯大切にしてあげてください。

 

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