招き猫の「本家」はすらり3頭身 招き猫ミュージアム
瀬戸生まれの招き猫はすらりとした3頭身らしい――。そんなうわさを聞いたら、確かめずにはいられない。5千体を展示する「招き猫ミュージアム」(愛知県瀬戸市薬師町)に出かけた。
ミュージアムを運営するノベルティー会社・中外陶園の社長鈴木政成さん(65)が教えてくれた。
縁起物の招き猫は江戸時代に生まれたとされる。明治時代後半、やきものの産地だった瀬戸に、縁日で売る玩具の金魚や招き猫の注文がくるようになった。
招き猫といえば、目がギョロリとしたふくよかな2頭身で、小判を抱えて片手で手招きする姿を思い浮かべる人も多いだろう。
しかし、瀬戸で量産された磁器製のものは、ほっそりとしていて、本物のネコに近いイメージだ。
小さくとがった耳、九谷焼の技法を採り入れた鮮やかな前掛けが特徴で、人を招くとされる左手を上げた姿が多かった。数センチのものから1メートル近いものまで作られた。
2頭身のタイプは戦後、同県常滑市で量産されるようになったという。これが一般的な招き猫として広く普及した。1990年代にペットブームもあって猫好きの人気を集め、表情豊かで多様な商品が作られるようになった。
元々は、瀬戸生まれの3頭身こそ、本家というわけだ。
鈴木さんは96年、「瀬戸にゆかりの深い招き猫で町おこしをしよう」と、「来る福招き猫まつり」を仕掛けた。街は「招き猫メイク」を施した人であふれ、今では8万人が訪れる恒例のイベントに成長した。
瀬戸で招き猫が生まれて100年余り。ノベルティー生産の勢いは衰えても、鈴木さんは「たくさんの人を招き、街を元気にしてほしい」と願いを込めている。
(小若理恵)
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