猫の放し飼いは何時代から? 中世まで綱につないで飼育

(写真は本文と関係ありません)
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 人類はいつ頃から犬や猫と関わるようになったのでしょう。犬の家畜化は旧石器時代末の約3万年前からで、猟犬やペットとして飼われたようです。犬は最古の家畜です。猫は今から約1万年前、農耕が発達した西アジアで、ネズミ対策として飼うようになったとされています。

 日本に家畜化された猫(家猫)がもたらされたのは、飛鳥時代~奈良時代だとする説が有力です。中国からの経典や書籍を鼠害(そがい)から守るために船に乗せたというのです。だとすれば、朝鮮半島から仏教伝来(6世紀中頃)に伴い、渡来人によって日本に持ち込まれた可能性もあります。猫の足跡らしきものがついた須恵器が兵庫県姫路市の見野古墳から出土しています。この土器がつくられたのが6世紀末~7世紀初め、飛鳥時代です。

 平安後期に書かれたとされる『新猿楽記』によれば、唐犬や唐猫が日宋貿易の商人によって日本にもたらされています。唐猫はネズミよけというよりペットとして、貴族の間で飼われていました。宇多天皇の日記『寛平御記(かんぴょうぎょき)』などから知ることができ、『源氏物語』や『枕草子』では猫が首綱でつながれている描写がみられます。

 鎌倉後期の『石山寺縁起絵巻』にも、店の出入り口に首綱でつながれた虎猫が描かれています。古代・中世の猫は、基本的につないで飼育していたようです。一方で犬は、古代や中世の絵巻物を見ると放し飼いであったことがわかります。

 ところが近世になると、犬・猫の飼い方に変化が出てきます。慶長7(1602)年に京都所司代が「猫放し飼い令」を発布。京の町では猫の綱を解いて放し飼いにしなさい、という趣旨の法です。京都の人口が増加して消費生活が発展した結果、ネズミの害が深刻になり、その対策として出されたのです。この法令以降、猫は放し飼いとなります。

 近世においても犬は基本的に放し飼いですが、都市の人口密集地における危害の増大、ペット化の進行、首綱をつけた洋犬の飼育方法などの影響によって、一部では綱でつなぐようになります。放し飼いがなくなるのは、戦後のことです。

 犬も猫も、人々の暮らしの変化によって飼育方法が大きく変わっています。こんな身近なところにも、歴史を学ぶヒントが隠されているのです。

(文教大学生涯学習センター講師 早川明夫)

朝日新聞
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