猫21匹が長野の山中で保護に 遺棄容疑で捜査
長野市の山中の特定の場所で26日までの1週間に計21匹の猫が相次いで見つかり、市保健所が保護している。長野中央署は何者かがまとめて捨て去ったとして動物愛護法違反(愛護動物の遺棄)の疑いで捜査を始めた。猫の世話を見る市保健所は「捨てるのはれっきとした犯罪。まず相談してほしい」とする。
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「こっちおいで、おいでー」「にゃーにゃー」
26日、昼。市街地から車で1時間ほどの市信州新町越道の山中。草木に隠れるように身を丸める灰色の猫がいた。保健所の職員がエサでおびきよせ、手元に近づいたすきに首をつかんで捕獲。車のトランクに積んだケージに入れ、無事に保護した。
猫がたくさん捨てられている――。保健所は21日、近隣住民から通報を受けた。現場に向かうと、浄水場の近くに15匹の猫が身を寄せていた。いずれも空腹で弱っており、すでに妊娠しておなかが大きくなったメス猫も。周りにエサやケージなどの飼育道具は一切なかったという。
その後の見回りでも新たに見つかり、26日までに計21匹(4カ月~3歳のオスとメス)を保護。いまは保健所の猫舎で元気よく過ごしており、今後は市内の動物病院で 不妊手術や予防接種を受けさせる予定だ。
保護された猫はみな雑種で人慣れした様子。特定の人がまとめて捨てた可能性が高いという。
保護の取りこぼしがないよう、現場の巡回は続く。同所は「悪意がなかったとしても、動物の遺棄は犯罪になってしまう。助ける方法はあるので気軽に連絡してほしい」と呼びかける。
保護された猫は無料で譲っている。希望者は市保健所食品生活衛生課(026・226・9970)へ。
■殺処分36匹、14年度、中核市で最少 保護した犬猫は296匹
市やペットフード協会の調査によると、各家庭などで合計約4万匹の犬と猫が飼われている長野市。2014年度には296匹が保護されたが、殺処分されたのは36匹。同年度中に指定されていた全国43の中核市で最も少ない。
市保健所では、飼い主に捨てられた「のら犬」「のら猫」を出さないような工夫をこらしている。同所が開く月1回の譲渡会には、保護された犬猫のほか、転居など何らかの理由でペットの引き取り手を求める人たちも参加できる。またツイッターなどで情報を流すなどして、里親探しに積極的に取り組んでいる。無駄な繁殖を防ぐため、不妊手術の助成金制度もある。
とはいえ、何より大事なのは飼い主の愛情だ。同所の食品生活衛生課の関口徳之係長(41)は「飼ったらきちんと育てよう、という市民性が支えているのではないか」と話す。
(横川結香)
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