動物保護センター建て替え資金の寄付、足りず 神奈川県
2019年度の完成を目指す神奈川県動物保護センター(平塚市)の建て替え費用に充てるため、県が15年度に募っていた寄付の総額が、目標の1億円に到達せず、4千万円余りに終わった。16年度はさらに多い3億円の目標額を掲げる。黒岩祐治知事は「現段階で集まり具合を論じるのは早い」と予防線を張るが、「県民に二重負担を強いることになる」と批判もくすぶる。
担当の県生活衛生課によると、募金が始まった昨年7月21日から今月1日までの総額は4124万1141円。黒岩知事は「県外からも寄付が集まり始めている」としているが、目標額にはほど遠い状況だ。
昨年11月には、給与天引きで県庁職員にも寄付を募ったが、計44万円が集まっただけ。県の取り組みをPRする俳優の杉本彩さんが団長の「県動物愛護推進応援団」もあるが、県によると、応援団からの寄付は確認されていないという。
一方、県は寄付によるセンター建て替えを周知する資料や動画の作成、イベント開催などで約370万円を費やし、昨年11月には約1230万円の費用でセンター建て替えを特集した県のたよりを発行。計約1600万円の費用を差し引くと、約2500万円しか資金が集まっていない計算になる。
センターは、狂犬病予防法に基づき1972年に開設された「県犬管理センター」が前身。80年から猫の引き取りも始め、現在は横浜と川崎、相模原、横須賀、藤沢の各市を除く市町村の犬猫を扱う。
ボランティアによる犬猫の譲渡が進んだことなどから、14年度にセンターに収容された犬猫の殺処分数はゼロに。県は殺処分室を置かずに建て替えを計画し、測量設計費を除く費用を寄付でまかなう方針で、18年度までに個人と企業・団体から計11億円の目標額を設定している。
黒岩知事は3月の県議会予算委員会で、「動物愛護の精神を広めつつ、寄付文化を根付かせたい」と説明。県庁内では寄付を募る放送が流れ、本庁舎には募金箱も置かれている。
県議からは「県費で建てるべきだ。募金自体が県民に二重負担を強いることになる」との批判もある。また、16年度当初予算でボランティアの活動費補助として887万円を計上したが、「寄付をこちらに回すべきではないか」との指摘も出ている。
(岩堀滋)
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