保護犬は性格が事前に分かって安心 広がる譲渡の機会

譲渡会でのわんこの様子
譲渡会でのわんこの様子

 犬と一緒に暮らしたいな。そう考えて足を運ぶ先はどこですか? 迷ったり捨てられたりしたあと保護された犬を、家族として迎えるという方法もあります。

 

 兵庫県宝塚市の自営業の女性(55)は、3歳のミックスと2歳のトイプードルを飼う。先に飼っていた犬が死んだ時、悲しさのあまり「もう二度と飼わない」と心に決めたが、友人の勧めで保護犬を引き取った。
 

 一昨年に来たミックス犬は、最初は頑として動かず、抱っこして散歩へ出ていた。慣れてくると少しずつ心を開いた。「犬というより家族の一員。心が通じ合った時はキュンときます」
 

 譲渡元は、大阪府能勢町のNPO法人「アニマルレフュージ関西」(アーク)。1990年から、捨てられたり行き場を失ったりした犬猫などを保護している。
 

 アークでは、引き取り希望者にはペット飼育歴や家族構成、留守時間などを記した事前調査書を提出してもらい、家族と面談した上で譲渡するかどうかを決める。マネジャーの岡本奈岐(なぎ)さんは「ペットを飼える状況であるかを確かめ、再び手放されることがないようにするためです。一度で決めず、何度来てもらってもよいです」と話す。譲渡が決まると、ワクチンや不妊手術などの費用の一部として1万5千円を負担してもらう。
 

 最近保護する犬は、おおむね7歳以上のシニア犬が多いという。高齢の飼い主が、病気や死亡、施設入所、経済的理由などから手放す例が多い。
 

 一方、保護犬のよさは、性格や運動量などが分かっていること。家族の生活スタイルに合うかどうかも判断できる。

 

  

譲渡会でのわんこの様子
譲渡会でのわんこの様子

 

 犬の殺処分ゼロを目指すNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」は、広島県神石高原町の拠点のほか、広島市と神奈川県藤沢市のショッピングモールに譲渡センターを設けている。センターにいるのはドッグトレーナーの訓練を受けた犬だ。
 

 地方自治体の動物愛護センターも譲渡会や講習会を開き、引き取り希望者の面談やフォローアップに乗り出している。神戸市は希望者宅を訪問し、飼育環境が適切かどうかを見る。和歌山県では、新しい飼い主らがサークルを作り、年2回イベントも開催している。

 

 

譲渡会でのわんこの様子
譲渡会でのわんこの様子

 

 インターネット上でも保護犬の情報を得やすくなっている。保護犬と譲渡希望者のマッチングサイト「HOGO犬」は、審査基準を満たす18都府県66団体が犬の写真や性格などを載せている。5年前に開設され、1740組の譲渡が成立した。同サイトの山田武生さんは「飼育の試行期間を設けている団体もある。犬の習性をきちんと知り、相談して決めることが大事です」と話す。
 

 官民を問わず譲渡元を探す際のポイントは、ホームページだけに頼らず、必ず保護されている現場をみて、保護環境や不妊手術の実施を確認すること。安易に引き渡そうとするところには注意が必要だ。

 

 

4万5千匹が所有者不明

 

 環境省によると、2014年度に自治体の保健所や動物愛護センターなどで引き取った犬は約5万3千匹に上った。飼い主からは約7800匹。捨て犬などの所有者不明の犬は約4万5千匹で、85%を占めた。引き取り後に第三者に譲渡されたのは約1万7千匹、迷い犬などで元の場所へ返されたのは約1万4千匹で、残りの約2万2千匹は殺処分された。引き取った犬の4割が殺処分されている。

 

 13年施行の改正動物愛護管理法には、ペットの飼い主は最後まで責任を持って飼うことが明記された。環境省は「ペットの命を預かり、最後まできちんと飼える自信と覚悟はありますか」と問いかけている。 

 

飼い主、50代が最多

 

 一般社団法人ペットフード協会がまとめた昨年の全国犬猫飼育実態調査によれば、犬は全国で991万7千匹が飼育されていると推計されている。平均寿命は14.85歳。飼い主の年代は20~70代の中で50代が最も多く17.5%、次は60代で15.6%。70代は10.7%で一番少なかった。愛護団体からの入手を検討した人の割合は13.7%にとどまる。「愛護団体を知らなかった」と答えた人は49%で、ほぼ半数に上った。

 

(中塚久美子)

朝日新聞
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