いざ、猫の譲渡会へ 「抱っこしてみる?」の誘いに「えっ…」

美人タイプのサバトラ猫。少しおびえたような瞳が印象的
美人タイプのサバトラ猫。少しおびえたような瞳が印象的

 2011年の真夏、「猫の譲渡会」に初めて参加したときのことです。


 猫ブログの片隅にあったバナーから、猫を保護しているNPO団体の存在を知り、さらに「譲渡会」なるものに参加すれば、猫を実際に見てから飼うことができると分かったのです。


 主催は猫の保護活動をしているNPO団体で、ほぼ毎月開催しているようでした。


 場所は東京・目黒区のペットショップ脇のちょっとしたスペース。ネットの情報によると、ここなら我が家からそう遠くない場所で保護された猫たちが集まっていることが分かっていたからです。


 数匹の子猫たちが1つのケージに入っていて、全部で20~30匹くらい集まっていました。


 我々夫婦のように、猫を飼おうと参加している人たちが同じ時間帯に4~5組いて、夫婦らしき人が数組、小学生くらいの子どもと両親の姿も。子猫を前にして、みんな表情がゆるみ、穏やかな空気が漂っていました。


 NPOやボランティアスタッフの方々が対応していて、猫を実際に抱っこさせたり、引き取りの手続きをしたり、猫の世話をしたり、忙しそう。この空間には、猫好きしかいない、まさにそんな感じでした。


 我々は、とりあえず猫たちを1匹ずつじっくり見ていました。


 「よかったら、言っていただければ抱っこもできますんでー!」と、NPOの方が声をかけてくれます。


 そこで、あることに気が付いたわたくし。


 そういえば……ずっと猫が嫌いだったから、猫を抱っこしたことないんだった。生まれてこの方一回も……。猫の頭をなでたことすら記憶にありません。


 猫って可愛いよなぁと、遠くから野良猫を見つめたり、あちこちの猫ブログを閲覧している間に、猫LOVEな気持ちになっていたので、すっかり忘れていました。


 しかし、実際に譲渡会に来てみて、猫を間近にして、バーチャルとリアルの差をまざまざと見せつけられてしまったのです。


 猫、かわいいけど触れねぇ! こわいよ! 引っかかれるよ、絶対に!!


 猫を飼うと決めて来たはずなのに急に恐ろしくなり、その気持ちが揺らぎ始めてしまいました……。


 「とりあえず、今日は様子見だけで、いったん帰らない?」と夫に切り出そうと思ったそのとき、夫が言いました。


 「この子猫、かわいいなあ。抱っこしてみる?」


 「えっ……」


 そこには、箱座りになり、じっと一点を見つめ、おとなしい美人タイプの黒っぽいサバトラ柄の猫がいました。


 次回に続きます。

 

 (ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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