野良猫を見かけたときの、幸福感
街でふと、猫を見かけたときの幸福感。
私の中では、小さくて大きな幸福です。
日向ぼっこしていたり、数匹で集会していたり、トイレ中だったり、時にはずぶ濡れになっても平然と歩いていたり……。猫の生活のなかの一瞬を見かけるだけで、なんとなく幸せになってしまうのです。
そこには、しっかりと地に足をつけて“生活”を送っている猫がいて、上京してから、なんとなくフワフワと地に足のつかない日々の私に、ほっと安らぎを与えてくれるような存在なのです。まるで田舎の生活を思い出すような。
数年前、電車の窓から、2週間に1回ほど見かける猫がいました。
白黒猫で、名前はさゆりちゃん。その近所の整体院に通っていたことがあり、ブログで紹介されていたので名前を知ることができました。
大抵その整体院横の路地にたたずんでいて、電車の窓から心の中で“さゆりちゃ~ん”と目を細めて見ていたものでした。
野良猫を見ただけで、こんなに幸福を感じられるなら、家に猫がいたらもっと幸福なんじゃないか? と思うようになってきた頃、引っ越し先の賃貸住宅がたまたまペット飼育可。引っ越すやいなや、隣の部屋の窓から、網戸越しにトラ柄の大人しい猫が顔を出していました。
う、うらやましいっ。
夫の帰りが遅く、家に帰っても大抵一人なので、若いころには感じなかった寂しさを感じていた私。家に家族がいることって、大事だよなぁ……。猫がいてくれれば、寂しくないのかなぁ……。
もはや、猫が嫌いだった過去など、もう忘れています。ぬくもりがほしい……。都会生活とはさびしく、殺伐としたものなのです。
ちなみに、夫は実家で猫を飼っていたことがあり、よく話をしてくれていました。“ミューミュー”というシャム猫が入った元捨て猫で、かなりのワガママ娘だったとか。
朝、部屋の窓に体当たりして、窓が割れんばかりの音で家族を起こしたり、キャットフードには目もくれず、なまり節ばかり食べていたり、雨が降っていると家中の色々な出口から外に出せとせがんで家人を困らせたり……。
暴れん坊ながらも、愛らしい猫だったという話を聞いていたのです。また猫を飼いたい、とも夫は言っていました。
夫も猫を飼いたい、私は野良猫をたまに見るだけじゃ飽きたらず、猫ブログや猫の写真集を眺めて癒される日々……。じゃあ、猫を飼うしかないじゃないか!と決心したのは、2011年の夏ごろでした。
このときは、自分が猫アレルギーだとは、知る由もありませんでしたがね。
(ヤスダユキ)
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