犬を飼う前に知ってほしいこと 成犬は性格を知ってから

もみの木動物病院のスタッフが引き取った保護犬のサニー。成犬といい関係を築くためには、まずは安心感を与えよう
もみの木動物病院のスタッフが引き取った保護犬のサニー。成犬といい関係を築くためには、まずは安心感を与えよう

 子犬だけではなく成犬を飼い始めることもあります。たとえば誰かが飼えなくなった犬を譲り受けたり、保護犬を引き取ったりすることもあるでしょう。ペットショップで売れ残っている子を不憫に思って飼う人もいます。

 成犬は子犬と異なり、甘咬みやいたずらなどが少ないなどメリットもたくさんあります。その半面、ペットショップのショーケースなどで長期間飼育されていた犬では、発達期に必要な刺激を十分受けていない場合があり、社会化不足から臆病な性格になっていたり、常同行動(ケージの中での往復歩行などの単調な繰り返し行動を行う)などが見られたりすることもあります。

 また問題があって飼育放棄された犬では、困った行動と向き合わなければならない場合もあります。

 成犬はすでに性格が完成されているため、短期間で大きく変化させることは困難です。もちろん時間をかけて適切な方法で取り組めば、良い方向に向かうことが多いのですが、少なくとも当分の間はその問題と向き合う覚悟が必要です。したがって、可能な限り引き取り先や前に飼っていた人、ペットショップの人の話をよく聞くことが大切です。できればトライアル期間を設けて一緒に暮らしてみて、その子の性格を理解したうえで迎え入れることをおすすめします。

 そしてもし問題行動を持つ子を引き取る決心をしたのであれば、どのような問題でもすぐに解決しようと思わないことです。まずはその子の性格を「個性」と考えて受け入れ、いい関係を築く努力をしてほしいと思います。すぐにその子の問題を修正しようと意気込むのではなく、その子が新しい環境に慣れ、家族を受け入れ、リラックスできるようになることを第一目標にするようおすすめします。犬が飼い主を家族と認め、大好きになり、安心して暮らせるようになるだけで問題が解決することもありますし、少なくとも解決するための準備ができたと言えます。

 問題を持つ子ばかりでなく、子犬に比べて成犬は新しい環境や家族を受け入れるのに時間がかかることが少なくありません。いい関係を築くために、最初にすべきことは安心感を与えてあげることです。リラックスして眠れる場所を提供し、食事や散歩、穏やかなふれあいの時間など犬のニーズを満たして快適に過ごさせてあげること、また少なくとも信頼関係が築けるまでは犬が嫌がること(犬のためであっても無理やり投薬をするなど)をしないようにすることで、犬は安心し、新しい環境や家族に打ち解けてくれるでしょう。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この特集について
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犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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