柴犬など日本犬 ゲーム性ある遊びで一体感を

◇模擬的なサバイバルを取り入れる

 

大人が楽しめるようなゲームを犬との暮らしにプラス

 

自立心を活かすために、ルールやゴールを設定したゲームを取り入れよう。
堅苦しいしつけよりもずっと簡単で、飼い主も一緒に楽しめる習慣になる。

 

ゲーム性の高いサバイバルを遊びにする
ルールとゴールを決めて楽しもう

 自立心を活かすためには、堅苦しいしつけよりも日常生活を工夫することが大切だ。例えば人の大人の遊びにはルールやゴールの設定があり、追う、闘う、探す、獲得する、といった模擬的なサバイバルであることが多い。日本犬も成長したらおとなとして扱い、遊びや習慣にゲーム性を取り入れよう。犬とより一体感のある関係を作れるので、暮らしがより充実するはずだ。

 ゲームには明確な目的と、「それをしなければいけない」という必然性を作るとよい。最初は簡単なルールとゴールを決めて、徐々に難易度を上げて行くとゲームの楽しさを覚えてくれる。犬が目を輝かせて楽しむようになれば、体を動かすことも取り入れ、ゲーム性の高い遊びに発展させよう。

 

成長段階による遊びの違い

子犬

人も犬も小さい頃の遊びは単なるエネルギーの発散。特に目的がなくても、騒いで走り回るもの。ゴールやルールがなくても、動くこと自体が楽しみといえる。
成犬

成長に伴い、むやみに騒がなくなる。生きるために必要なこと以外の動作が減るので、早めにルールとゴールを決めたゲーム性の高い遊びを教えよう。

<1>探すその①

散歩の習慣に楽しみをプラス。最初は「リードを見つける」ことをゴールにする。犬がすぐに見つけられる場所にリードを置き、犬が近づいたらすぐにほめて散歩に出かける。これを繰り返せば「リードを見つけたら散歩に行く」というゲームだと理解して、捜索を楽しむようになる。

さらにゲームとして発展させる場合は、ゴールを「リードをくわえる」に変える。犬はとまどうかもしれないが、飼い主が声をかけたり指をさしたりすれば、自分なりに考えて行動する。「リードをくわえる」に近い行動をした時にほめて教えよう。

 

隠したリードを見つけたら散歩へ
隠したリードを見つけたら散歩へ
最初はリードを犬が見つけやすいところに隠そう。「リードを見つける」から「リードをくわえる」にゴールを変える時には、犬に正解を伝えるために、ほめるタイミングを逃さないように注意する。

 

<2>探すその②

食事の習慣にも「探す」ゲームを取り入れられる。特定のにおいがするもの(お気に入りのぬいぐるみ、アロマを染み込ませた布、など)を見つけたら食事、というルールとゴールを決める。最初は「探す(その1)」と同じく、犬が見つけやすいところへ隠す。犬がそこへ近づく、においを嗅ぐなど、「発見!」のしぐさを見せたら、ほめてその場で食事を与えよう。

簡単に発見できるところへ隠す
簡単に発見できるところへ隠す
まずは犬が見つけやすいところへ隠す。犬が見つけられない場合は隠すところを見せてから探させる。
 
 
 
 
 
見つけたらその場で食事にする
見つけたらその場で食事にする
犬が隠した場所のにおいを嗅いだりしたら「発見!」の合図。すぐにほめて食事をその場で与えよう。

 

 

<3>獲得する

目的のもの(とっておきのオモチャやオヤツなど犬が獲得すると喜ぶもの)を見える位置に置いてゴールにする。そこにたどりつくまでに障害物を作る。犬が乗り越えられるように、飼い主は声援を送ったり、時にはヒントを与えたりしよう。難易度を上げればゲーム性が高くなる。

障害物を越えたらオヤツ

例えば公園の遊具を障害物として利用する。くぐった後でオヤツをごほうびとして与えよう。

<4>追う・闘う

オモチャを与えっぱなしにするのではなく、一緒に楽しむためのツールとして使う。飼い主はオモチャを持って逃げ、犬が追いついたら遊んであげよう。引っ張りっこ遊びなどができるように、オモチャはある程度の長さがあり、丈夫な素材がよい。

擬似的な格闘を楽しむ
擬似的な格闘を楽しむ
引っ張りっこやじゃれ合いは、犬にとって模擬的な格闘。このゲームは難易度ではなくハードな動きを楽しもう。

 

 

 

 

保守的な性質を考えた習慣や生活環境を整えることが重要

 暮らしに関する日本犬の特徴は、自立心の強さ以外にもまだある。

「良くも悪くも保守的なので、習慣として確立したルールは守る傾向があります。例えば盗み食いを成功させたことがなければ、届くところに食べ物があっても何もしないことが多いものです。特定の部屋に入らない習慣ができれば、戸を開けたままでも入らず、無理に入れても居心地悪そうに出て行く場合も。これらは長所ですが、ご家庭の事情で大幅に生活形態を変えなくてはいけなくなった場合、新しい環境やルールに慣れにくいかもしれません。将来的な生活の変化が予想できる場合は、犬が若い頃からいろいろな環境に慣らしておきましょう」

 室内と屋外飼育の暮らしの注意と、取り入れた方がよい習慣を教えていただいた。

「室内飼育のご家庭で散歩の時間が十分にとれない場合は、交流する時間と互いのペースで過ごす時間を意識して分けた方がいいと思います。人も犬もおとなになれば、ひとりでゆっくり過ごしたい時があるものです。屋外飼育の場合、郊外であればのびのびできてよいと思いますが、『家族の一員』という自覚が希薄になりがち。飼い主さんはまめに庭に出て交流を図る必要があります。市街地で人通りが多い場所では、常に警戒しなくてはいけないのでストレスが心配です。犬が落ち着ける場所で過ごさせましょう」

 日本犬の性質を理解したうえで、今後の暮らしを考えることが大切だ。

監修:山下國廣先生/軽井沢ドッグビヘイビア

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