犬の気持ちになると誘惑多すぎ ドッグカフェで落ち着かない犬のベストな過ごし方は?
サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫たちと暮らすドッグトレーナーの浅野さんから見た、犬や猫たちとの暮らしをつづります。
カフェでの過ごし方、苦労と成果
私はドッグスクールで犬のトレーニングの仕事をしている以外は、ほとんど愛犬のコーダと一緒に過ごしています。私の生活や行動に合わせてコーダはそばにいてくれますが、少しも困ることがありません。
出かけた先で犬と同伴できる飲食店へ行っても、室内やテラス席であっても、私がテーブルにつき椅子に座るとコーダは地面にふせてリラックスし、食事が終わるまで寝ていてくれます。犬用の食べ物を提供しているお店では、コーダ用のものを注文して食べさせることもありますが、欲しがって飛びついてくることはありません。ふせたまま静かに次のひと口が来るのを待っていて、終わればまたくつろいでくれます。
お店のスタッフが来ても他の犬や人が通っても、特に反応しないので本当に楽です。他に反応せずにいられることは人間にとっても楽ですが、実は犬にとっても楽なことなのです。
反応しないでいられるのは、「おとなしい性格」「年齢によるもの」と思われるかもしれませんが、こんな風になってくれることを理想として、コーダと一生懸命トレーニングをしました。以前のコーダは、食べ物を欲しがってテーブルに飛びついたり、リードを引っ張って他へ行こうとしたり、ふせをしていたとしても誰かが通れば立ち上がり、いちいち反応していたのです。
犬に行動を教えるための知識がない頃は、そのたびに「ダメ!」と言ったり、当時なぜかはやっていた(ノーと言ってるわけじゃないど、ご褒美が出ないよと言う意味を含んだ)「ア、ア!」と言う合図を発したりしていました。困った行動を一度はやめるけど、また繰り返すので、ア、ア! 地獄です……。
アであろうが、ダメであろうがコーダは何度も同じことを繰り返すので、最後は気合が足りないのかとも思い、大きめの声を出したり、強めに言ってみたりと試行錯誤しましたが、無駄に終わりました。
犬をカフェに連れて行かなければ、カフェでの問題はありません。それに犬自身がカフェに行きたいかどうかは、(本人に聞くことができないので)わかりません。犬と一緒に行きたいのは飼い主。ではカフェに犬を連れて行ったとき、犬にはどのように過ごしてもらうと理想的でしょうか?
犬の気持ちになって考えてみたら
カフェに犬を連れていく飼い主は、「愛犬には静かにそばにいて欲しい」、これが理想ではないでしょうか。自分の足元で寝ていたり、どこか他へ行ったり、反応してほえたりしないように過ごしてもらいたいのです。人の食べ物を欲しがってほえたり、立ち上がって飛びついて来ないともっといいですよね。
では、カフェに連れて来られる、犬の立場になって考えてみるとどうでしょう。目の前にあるいい匂いのする食べ物を食べられず、飼い主が帰るまで待つ。いつ終わるのかわからないし、何をして過ごせばいいかもわからない……けれど、その場からも動けない。小型犬の場合はひざや椅子に乗せたりしていることもあるでしょうから、顔の前にある食べ物を我慢しながらさらに静かにすることは、ハードルが高いように気がします。
そして、食べ物が目の前にあるので食べようとしたら「ダメ」と言われる。私が犬なら、その環境の理不尽さにほえると思います。我慢できない犬たちに、「気持ちはわかる」と言いたくなります。
カフェでのベストな過ごし方は?
犬の気持ちになって考えると、我慢しがたい環境。ここへ連れて行くのが「犬と一緒にカフェへ行く」というものなので、せめて愛犬にはどう過ごせばいいのか教えておくと、まだ親切かもしれません。
ではどう過ごせるといいでしょうか。まず、犬が立ったままだと、歩き回ったり、きょろきょろ周りを見回しやすくなり、他の犬とも目が合うかもしれません。さらにテーブルに脚をかけて、人の食べ物を食べてしまうかもしれません。
座ったらどうでしょう。先ほど書いたように椅子などに座ったら食べ物がよく見えて、食べたい気持ちがより強くなるかもしれません。また、すぐに立ち上がれる姿勢なので、できれば早くリラックスして静かにしてほしいと思うかもしれません。
そこでおすすめなのは、地面に1番近くてテーブルからは遠い「ふせ」です。愛犬がふせをしてくれていたら歩き回ることもなく、テーブルに飛びつきにくく、他を見渡しづらいので、他の犬や人に反応するとことも少なくなります。
愛犬が「カフェで飼い主の足元にふせをしていられる」ためのトレーニングは、いきなりカフェから始めないのがポイントです。まずはふせができるようになることが大事なので、ご自宅にてオモチャなど気になるものが転がっていないような環境をつくり、できるだけ刺激が少ない「成功しやすい環境づくり」で教えるのが効果的です。
次回は、カフェでふせを続けられるようにするトレーニング方法をご紹介します。
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