父島からやって来た猫「ミケちゃん」　動物病院のアイドルに

　西武新宿線田無駅から徒歩５分ほどの野村動物病院には、ミケちゃん（８歳♀）という病院猫がいます。

（末尾に写真特集があります）

　院長である野村道之先生はクールを装いながらも、実は心底動物が大好き。「獣医師をしていると、普通はお願いして触らせてもらう犬や猫を触り放題で、しかも向こうから来てくれるんですよ」とニッコリ。以前飼っていたハスキー犬と、現在自由に院内を闊歩するミケちゃんとは「家庭内別居状態」だったとか。

「ミケは自分に興味を示す相手が苦手です。犬が匂いを嗅ぎたくて近づこうとすると、ミケは犬が発する遊ぼうオーラにびっくりして逃げ惑うのもかわいそうで。お互い気が休まらないので犬は２階、猫は１階で住み分けしてもらうことにしました」とのこと。

　東京都獣医師会協力のもと、小笠原の野生動物を守るために猫を東京の動物病院へ引越しさせる「小笠原ネコプロジェクト」により、遠い父島から船でやって来たミケちゃんは、今ではすっかり病院での暮らしにもなじんだ様子。自分の猫を飼うのは初めてという道之先生のことは「便利な同居人」ぐらいに思っているそうです。マイペースに入院室で食べたり飲んだりして、来院中の犬の目の前をわざと横切ったりすることも。

　あとはお気に入りの麻酔器の上や、椅子の上で寝ていることが多いとか。「動物と暮らすのは楽しいですよね？その気持ちを共有するためのお手伝いをさせてもらっています」と超ポジティブな院長のいる病院は、動物に優しい雰囲気で満ちているのです。

（取材・平野敦子）