動物保護活動をするボランティアを支援 シェルター整備のため支援募る

「国立競技場近くに肛門から回虫が出ている猫がいる」と相談が寄せられて保護した(東京都人と動物のきずな福祉協会提供)

 飼い主が入院して取り残されたり、多頭飼育崩壊によって劣悪な環境で飼育されたりするなど、犬や猫をめぐりさまざまな問題が起きている。何とかこうした動物を助けたいとボランティアが活動しているが、多額の医療費を自己負担したり、譲渡が難しい動物を自宅で数多く保護せざるをなかったりするケースも少なくないという。そこで地域で活動するボランティアを支援しようと昨年、一般社団法人「東京都人と動物のきずな福祉協会」が発足した。同協会は現在、地域のボランティアが使えるオープンシェルターの整備を目指して、クラウドファンディングで資金を募っている。1月31日午後11時まで。

(末尾に写真特集があります)

ボランティア、行政、企業を結んで支援

 東京都人と動物のきずな福祉協会は、東京都千代田区で活動する一般社団法人「ちよだニャンとなる会」のメンバーが立ち上げた。ちよだニャンとなる会は、20年にわたり飼い主のいない猫の問題に取り組んでいる団体だ。

 東京都人と動物のきずな福祉協会によると、ボランティアと行政が連携して犬や猫をめぐる問題に対応しているが、都内でも地域によっては行政からの不妊去勢手術費用の助成が脆弱だったり、ボランティアが不足したり、行政側の問題意識が低いことなどにより、対応に遅れがでているという。

人目の届きにくい湾岸エリアに猫が遺棄され、繁殖している(東京都人と動物のきずな福祉協会提供)

 そこで同協会は、ボランティア、行政、企業などを結び、それぞれが協働する取り組みを中間支援する。行政などにアドバイスなどを行うほか、ボランティアとのネットワークを作り、ボランティアの支援、育成のほか、社会への情報発信などを行い、人と動物を包括的に支援する仕組み作りを推進するという。活動エリアは都内だ。

動物病院と連携し、必要に応じてシェルターで皮下点滴も行う(東京都人と動物のきずな福祉協会)

 いま目指しているのは、オープンシェルターの整備だ。同協会と連携するボランティアが、飼育放棄や多頭飼育崩壊などで動物を引き取らざるを得なくなった時に利用する。感染症対策のため、動物を保護してすぐに連れてくるのではなく、あらかじめ決めた検査を動物病院で受けるなどの条件を満たすことが必要になる。シェルター内では、動物同士の相性にも配慮する。ボランティアは同協会と連携してオープンシェルターで動物を保護し、必要なケアを行い、譲渡へつなげる。

オープンシェルターの整備を

 現在、第1号のオープンシェルターを千代田区に整備中だ。そのために必要な資金を、クラウドファンディングで募っている。このシェルターは猫向けで、ストレス無く過ごせるようにキャットウォークや、ひなたぼっこしながら外を見下ろせる場所も作る。オープンシェルターは年内にも、都内数カ所で開設する予定だ。

安心して過ごせる場所を(東京都人と動物のきずな福祉協会提供)

 同協会はほかに、助成事業も実施。ボランティアが自己負担している、動物を譲渡する際にかかる医療費などを助成する仕組みで、ボランティアは同協会の賛助会員となり、助成を申請し、審査を経て助成が決定する。

 加えて、ボランティアがより力を発揮できるように、オンラインセミナーも開催する。動物の感染症対策やストレス対策、譲渡会を開催したり運営したりするコツ、SNSの効果的な使い方や注意点などについて伝える。

 同協会の業務執行理事である古川尚美さんは、「動物に優しくできなければ、人にも優しくできないと信じて、活動してきました。大変な時代ではありますが、ご支援をいただけたら大変ありがたいです」と話している。

(磯崎こず恵)

◆東京都人と動物のきずな福祉協会のクラウドファンディングサイトはこちら。1月31日午後11時まで。

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