寄り添い合う、お兄ちゃん猫「陽(はる)」と子猫の「鈴(りん)」
寄り添い合う、お兄ちゃん猫「陽(はる)」と子猫の「鈴(りん)」

家にやってきた子猫を受け入れる先住猫の姿 やさしさは受け継がれる?

 新しく家にやってきた子猫を、先住のオス猫はあふれるやさしさを持って受け入れました。飼い主さんの目には、その昔、自分がしてもらったことをやっているように見えるそうです。やさしさは受け継がれるのでしょうか。

 子猫は先輩チワワとも仲良くなり、今、3匹と夫妻はおだやかに、にぎやかに暮らしています。

(末尾に写真特集があります)

かいがいしく世話する姿はまるでママ?

 これまで複数の犬や猫と暮らし続けてきた敏郎さんとみゆきさん夫妻。ふたりのもとに最近やってきたのは、白黒ブチの愛くるしいメスの子猫。「鈴(りん)」という名前をもらいました。

家に来た時は生後2カ月ほど。背中にハート柄のある女の子だった(みゆきさん提供)

 鈴をやさしく受け入れた先住猫は、黒猫の「陽(はる)」、4歳です。初対面の瞬間はフーッとやったものの、すぐに鈴をペロペロなめて毛づくろいをしてあげるようになり、くっついて寝るようにもなりました。

ぴったり密着する2匹(みゆきさん提供)

 ある時は、鈴におなかをおっぱい代わりにちゅうちゅうされ、なんとも微妙な表情でガマンしていたことも。もうこれはお兄ちゃんというより、パパも超えてママ?

「そのあとに胃腸の調子が悪くなったのは、ちょっと疲れたのかも……」と、男同士(?)、陽に同情する敏郎さん。

このコンビでくっついていることも(みゆきさん提供)

 また、鈴は少し前にこの家にやってきた先住犬、チワワの「望(のあ)」とも仲良しになって、じゃれ合ったり、追いかけっこしたり。2匹は年の近いきょうだいのようです。

猫にも人にもやさしい陽

 夫妻が迎えてきた猫はほとんどが保護猫ですが、陽は家猫のお母さんの「できちゃった出産」で産まれた“おぼっちゃん”ゆえか、とてもおっとりした性格。家に来た時、先住犬にも自分からくっついていき、仲良くなったそうです。そして人にも同じく友好的で、取材時も陽のほうから近づいてきて、スリスリしてくれました。

人間にもやさしく、目を合わせてあいさつしてくれる陽

 みゆきさんが言います。

「以前いたオスの黒猫『輝(てる)』が、先天性の病気で2歳で亡くなりました。その後しばらくして夢に出てきて、『もう次の子を受け入れていいよ』と言ったんです。そうしようかと夫婦で話し、飼い主募集のサイトで見つけたのが陽。おなかを出してごろんと寝転ぶ姿まで輝にそっくりでした」

陽をかわいがったお姉ちゃん猫

 その陽をことのほかかわいがったのが、先住のメスの白猫「結(ゆい)」でした。結は人間にはつれない態度でしたが、猫にはやさしかったといいます。

「結はくるねこ大和さん(漫画『くるねこ』の作者で、猫の保護活動をしている)のところで保護されていた猫で、その時に先住猫たちからかわいがられていたからかも」(みゆきさん)

 結は後から来た子猫を文字通り“猫かわいがり。陽のこともペロペロなめたり、一緒に寝たりしました。ちょうど今、陽が鈴にやっているのと同じように。

白猫の結と黒猫の陽、オセロコンビは大の仲良しだった(みゆきさん提供)

 ただ、結は腎臓の数値が悪く、おまけに結石持ちで、鈴が来た時にはかなり弱っていたのです。なんとか鼻先でくんくんしたものの、世話をする元気まではなかったそう。そして、ほどなくして息を引き取りました。享年11歳でした。

力を振り絞り、鈴に鼻くんくんする結(みゆきさん提供)

 子猫のころに周りの猫にかわいがられた結は、子猫だった陽にやさしくし、そして陽は鈴にやさしくする。もちろん性格や環境にもよりますが、やさしさは受け継がれていくのかもしれません。

ここにもやさしさが

 敏郎さんとみゆきさんは、1~2年前に10年以上一緒にいた犬を2匹続けて亡くしました。その時は、自分たちの年齢を考え、最期を看取れないかもしれないからと、もう新しく動物を飼うつもりはありませんでした。

 しかし、息子さんから「もしも何かあった時は自分が責任を持つから」と子犬を飼うことを勧められ、チワワの望を迎えました。

リビングでくつろぐふたりと1匹

 その後、17歳の猫を亡くし、猫が結と陽の2匹になった時に感じたのは「ちょっと寂しいなぁ」。かかりつけの動物病院に「もう1匹なら飼えそう。もし子猫がいたら教えてください」とお願いした1週間後、みゆきさんの携帯電話に連絡がありました。

 衰弱している子猫を保護した人が病院に連れてきて、「自分は飼えないので、飼い主を探してくれるところを紹介してほしい」と言われ、預かっているとのことでした。「どうする?」と先生に聞かれ、「引き取ります」と即答。会うこともなく決めたのは、縁だと思ったからです。

 そうして迎えたのが鈴でした。後日、子猫が仲間入りしているのを見た息子さんは、「え、猫も……?」と若干ひるみつつ、言いました。

「養育費は用意しておいてね!」

仲良し3匹と、おだやかでにぎやかな日々(みゆきさん提供)

 この2年あまり、長く一緒に暮らした犬猫を次々と見送り、また同時期に肉親を亡くし、さらに敏郎さんの入院・手術もあり、という日々を過ごしてきたというふたり。

 今は鈴と陽と望と、「平和で、飽きない毎日です」とみゆきさん。「ちょっとドタバタだけど」と敏郎さんは笑います。

 その傍らでは、3匹がのんびりまったりくつろいでいました。

石井聖子
猫依存症の名古屋在住ライター。幼少期は犬、亀、鶏、インコと暮らし、猫歴は30年以上。現在は3ニャンズ(と夫)と同居。さらにワンコも一緒に暮らすのが野望。夢は弱い立場にいる動物と子ども、全ての人が一緒に幸せになれる方法を見つけること。

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