捨て犬だったリク、人命救った ほえ続けた夜、先には血を流した男性
福岡県警大牟田署はこのほど、未明に川に転落した男性の救助に貢献したとして、大牟田市草木の佐藤頼幸さん(81)に感謝状を贈った。佐藤さんに男性の存在を知らせたのは、捨てられているのを見つけて育てた愛犬、リク。リクの立派な行いに、署からは感謝の犬用ガムとビーフジャーキーが贈られた。
署によると、4月29日午前1時40分ごろ、佐藤さん宅の庭でリクが突然ほえ始めた。未明に力強くほえ続けるリクの声で佐藤さんは起きて、外に出た。
リクは家のそばを流れる川に向かってほえていた。
川は幅2メートル、水深10~20センチ。佐藤さんは懐中電灯の光を川に向けた。すると、右耳から血を流した60代の男性が腰まで水につかり、石垣にもたれてぐったりと座っていた。「寒い、寒い」とつぶやく声が聞こえ、佐藤さんはすぐに署に電話をかけた。
警察官が到着するまで、佐藤さんは男性に懸命に話しかけた。「意識を保たせてやらんといかんと思いました」と振り返る。
男性は酒に酔って歩いていたところ、押していた自転車ごと転落したという。あごや右肩の骨が折れていたが、命に別条はなかった。「男性を助けられたのはリクのおかげ」と、佐藤さんは安心した表情を見せた。
リクは子犬だった7年前、山に捨てられていたところを、佐藤さんの息子が拾ってきたという。人なつっこく、普段はおとなしいというリク。勇敢にほえ続けたことで、貴重な命を救った。
感謝状とビーフジャーキーなどは3日に贈られた。
署の古川直之地域課長は「犬の鳴き声が人命救助につながるのは非常に珍しい。主人に助けを呼んだリク君と、すぐに連絡をくれた佐藤さんに感謝しています」と話していた。(椎木慎太郎)=朝日新聞デジタル2022年06月15日掲載+09:00>
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