日本人は犬をよくわかっていない!? 飼い主が学ぶことが「犬の幸せ」に

「犬にウケる飼い方」著者の鹿野正顕先生と愛犬の守(まもる)(鹿野先生提供)

「犬は家族の一員」と考える飼い主さんが増えています。愛犬を見ているうちに「なんだか人間みたい」と思うこともありますよね。しかしそのポジティブな考えが、犬に嫌われる原因になることも! 犬や猫が元気に暮らすための会員制動画サービス「まなびばsippo」で講師を務める鹿野正顕先生は、「日本人は犬をよくわかっていない。愛犬と幸せに暮らす一歩として“犬”という動物をもっと知ってほしい」と言います。

「愛犬と幸せに暮らしたい」という願いは、どうすればかなうのでしょうか? じつは飼い主さんが思うほど難しいことではないかもしれません。今回は犬と飼い主さんが幸せになるヒントを鹿野先生に聞きました。もっと詳しく知りたい方は、12月22日(水)20時から行う鹿野先生のまなびばsippoライブ配信に質問をお寄せくださいね。また、鹿野先生が最新の研究をもとに、犬への理解を深めるアドバイスを詰め込んだ「犬にウケる飼い方」(ワニブックス)も必読です!

(末尾に写真特集があります)

犬は飼い主のことをどう思っている?

 飼い主さんにとって愛犬はかけがえのない家族のような存在ですよね。では、愛犬にとって飼い主さんはどのような存在だと思いますか? 最新の研究により、犬は人間の「家族の一員」に近い関係を築けることがわかってきました。

 犬は不安になったときに生まれつき人間に助けを求める習性があります。母犬のもとから離れて新たな飼い主さんに迎えられたときから、「自分を養育してくれる存在」と思っているわけですね。また、母と子の絆形成に重要な役割を果たす「オキシトシン(幸せホルモン)」が、人と犬の絆形成でも重要な役割を果たすことも明らかに。犬は人間と絆を深めるのに特化した愛すべき動物と言えるでしょう。

養育したい人と養育されたい犬の関係は、まさに親子のよう(鹿野先生提供)

日本人は犬のことをよくわかっていない

 犬を迎えて幸せに暮らしている飼い主さんがいる一方、「こんなはずじゃなかった」と悩んでいる飼い主さんもいますよね。根底にある問題は、日本人が犬という動物をわかっていないことだと感じています。

 欧米の愛犬家は自分たちの祖先が生み出した犬の特性や飼い方が知識として身についていますが、日本では「かわいい犬と暮らしたい」という思いが先行して、犬のことをよく知らないまま飼うケースも多いのではないでしょうか。

「取扱説明書なし」の状態で犬を迎えた結果、犬が言うことを聞いてくれない、叱ってもいたずらをやめない、何回も教えているのに覚えない、といった問題に直面することになるわけです。

犬への理解を深めるだけで解決することもある

 取扱説明書を読む、つまり犬への理解を深めるだけで解決する問題も少なくありません。たとえば犬と人間では脳(大脳皮質の前頭葉)の働きが大きく異なるため、行動や能力も変わってきます。「うちの犬は自分を人間だと思っている」と言う話もよく聞きますが、犬は人間のことを異なる性質を持った存在と見ているはず。犬は家族だから人間のように接するという考え方は、愛情深いようで、犬という動物への理解から遠ざかってしまいます。

愛すべき犬という動物への理解を深めることが大切(鹿野先生提供)

 ここでは暮らしのうえで知っておきたい人間との違いを紹介しましょう。犬種別の飼い方については、まなびばsippoの「人気犬種の行動特性と付き合い方」コースの動画を参考にしてくださいね。

[犬の行動や能力の特徴]

  • 犬は感情をコントロールすることが苦手
  • 犬は善悪の判断ができない
  • 犬は先のことを予測して考えることができない
  • 犬は叱られても反省しない
  • 犬の短期記憶は最短10秒程度ですぐ忘れる など

 犬の行動や能力の一端を知るだけでも、「犬が言うことを聞いてくれない」という悩みを解決するヒントが得られると思いませんか? 

家族の一員という幸せの裏にある責任

 犬は家族の一員という幸せなイメージが世の中に浸透していますが、保護者としての飼い主さんの責任はまだ十分に広まっていません。犬は家族になることはできても人間ではないので、飼い主さんが家庭や社会で暮らすためのルールやマナーを教えることが大切です。

 そこで必要になるのが、犬に理解しやすい方法によるしつけです。犬に何かを教えるときには、母と子の関係をイメージし、2歳くらいの子どもを相手にするように心がけるといいでしょう。たとえば、叱るよりほめる、無理強いをしない、不安や苦痛を与えない、互いに楽しめる方法を考える、といった姿勢が大切です。

 日本人の飼い主さんは、「○○したら、○○するべき」と理屈で考えるタイプと、犬をアイドルのように溺愛(できあい)するタイプに分かれます。厳しすぎと甘やかしすぎのどちらかに偏りがちなので、バランスをとる接し方を心がけましょう。

しつけは犬との大切なコミュニケーション

 しつけをされていない犬は本能のおもむくままに行動し、飼い主さんを困らせるばかりかご近所トラブルにもなりかねません。犬にしてみれば、何かするたびに意味がわからないまま叱られるばかりで、飼い主さんのことを嫌いになってしまいます。これでは誰も幸せになれませんよね。

しつけがうまくいかないときはドッグトレーナーに相談を(鹿野先生提供)

 しつけはルールやマナーを教える手段であり、飼い主さんとの大切なコミュニケーションの一つです。人間が合図を出す→犬が反応する→人間が「ありがとう」と感謝する(ほめてごほうびを与える)という一連の流れは、犬に限らず人間も日常的に行っているやりとり。コミュニケーションを繰り返すほど意思の疎通ができるようになり、愛犬ともっと仲良くなれます。

 共に暮らす犬を理解して、保護者として必要なことを教えて、愛情を注ぐ。飼い主さんが学ぶことから愛犬との幸せな暮らしはスタートします。

練習すれば犬は自分のあだ名もちゃんと覚えてくれる(鹿野先生提供)

 愛犬ともっと幸せになるためにおすすめのしつけは、愛犬の名前を呼んで見てくれたらほめてごほうびを与えること。これだけで関係性が見違えるように良くなります。犬が飼い主さんに期待して見つめる頻度が増えると、オキシトシン(幸せホルモン)の分泌も上昇します。ぜひ生涯にわたって続けてくださいね。

「犬にウケる飼い方」
著:鹿野正顕
発行:ワニブックス
判型:240ページ、新書
定価:880円(税別)
*書影をクリックするとアマゾンにとびます。

金子志緒
ライター・編集者。レコード会社と出版社勤務を経てフリーランスになり、動物に関する記事、雑誌、書籍の制作を手がける。愛玩動物飼養管理士1級、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のサウザーと暮らす。www.shimashimaoffice.work

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