猫「クロミ」へ、あなたと出会い人生観が大きく変わった 〈お手紙コンテスト入賞〉

黒猫
クロミ

 sippoが主催した「みんなイヌみんなネコお手紙コンテスト」から、入賞作をご紹介します。

猫:クロミ
飼い主さん:どんぐりママ

 親愛なるクロミへ

 少し照れくさいけれど、あなたとの奇跡的な出会いを言葉にしてみたいと思います。

 あなたと初めて出会ったのは、2018年9月半ばの夕方。黒猫母さんに連れられて、家の裏の塀の上を歩いていました。先住のミニブタ「どんぐり」と散歩をしていた私は、思わず「可愛い猫さんたち、こんにちは!」と声をかけて、少しのパンを目の前に置きました。きょとんとしたふたりの顔を、今でもハッキリと覚えています。

 この日から数回、親子で一緒に遊びに来てくれたよね。そして、いつからだろう、小さなあなたがひとりで遊びに来始めたのは……。毎日、夕方5時半きっかりに、勝手口の前にちょこんと座り、小首をかしげて、「おばちゃん、遊ぼう」と、ニャーンとひと鳴き。その姿が、何とも言えず可愛かったなぁ。

 目の前でごはんを食べているから、触ろうと手を伸ばすと、最初は、サッと身を引いていたっけ。思い付いて買ったスリッカーブラシで体をなでると、余程気持ち良かったのか、次の日からは、ごはんの前に、まず、ブラッシングをしたね。ねだるように足元にすり寄り、気付いたら、抱っこまで出来るようになっていました。その頃には、あなたが可愛くて可愛くて、小一時間遊んだ後、バイバイって言うのがつらかったです。

 これは、初めて話します。会いたい気持ちとつらい気持ちが交錯して、いっそのこと、会わない方が良いのではないかと考え始めました。あなたの通り道に、猫の嫌いな水やみかんの皮をまきました。でも、あなたは難無くくぐり抜け、「おばちゃん、今日は道がぬれていたよ」と言わんばかりに、ニャーンと勝手口で鳴いたよね。

 次の手段は、居留守。あなたの来る時間から20時頃まで、部屋の明かりを点けず、息をひそめて過ごしました。「ああ、これで今日は会わずに済んだ」と安堵(あんど)して、明かりをつけた途端、外からニャーン!「おばちゃん、今日は遅かったね!」激しく後悔して泣きました。あなたの純真さが、切なかった……。

 あなたが通い始めて、2カ月になろうかという頃、夜中にも来る様になり、近所の人に聞いて、寝場所が無くなり、黒猫母さんともはぐれたことを知りました。その上、もうすぐ寒い冬が来る。その小さな体で、越冬出来るか心配だったのに、私は、あなたを迎え入れる決心がつきませんでした。言い訳だけど、私は、猫と暮らした経験が無く不安だったことと、ミニブタのどんぐりと仲良く出来るか心配だったから。

 頭の中が、あなたのことでいっぱいで、毎日悩んでいる私を見かねた娘の千芳(ちか)が、「私の部屋を猫部屋にして、保護しよう」と言ってくれて、悩みが希望に変わりました。猫の飼育本を買い、勉強し、必要な物を買いそろえて待ちました。そして、あなたがいつも通りに来たので、抱いて家に入りました。2018年11月26日。あなたが、家族になった日。そして、私が、『おばちゃん』から『お母さん』になった日です。

 翌日、病院で、3、4カ月の女の子と分かり、先生に「名前はどうしますか?」と聞かれ、とっさに、「黒くて可愛いから、クロミにします」と答えました。『あなた』から『クロミ』になった瞬間だね。

 クロミが来てくれて、毎日が楽しくて幸せです。昨年、野良だったバルフィを悩まず保護出来たのも、猫好きのお友達がたくさん出来たのも、全てクロミのお陰です。ありがとう。私の人生観が、大きく変化しました。

 これから先も、ずっとずっと、家族みんなで幸せに過ごして行こうね。そして、今思うのは、黒猫母さんは、私を信じて、認めてくれていたのかな……と。小さなクロミを、私に託してくれて、ありがとうございました。今もどこかで見守ってくれていますように。お母さんより

◆「お手紙コンテスト」の受賞作は、こちらのページからもご覧いただけます。

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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